カンタス分社化、顧客には「変化なし」-羽田は検討継続
(パース発:本誌 松本裕一) カンタス航空(QF)は7月1日付けで分社化する。赤字の国際線事業の立て直しをめざすもので、主に国際線のカンタス・インターナショナル、国内線のカンタス・ドメスティック、ジェットスター航空(JQ)、カンタス・フリークエント・フライヤーの4社に分社化。各社にCEOを置いて個別に事業を展開し、国際線事業は2014年までの黒字転換をめざす。
西オーストラリア州パースで開催中の旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2012」の会場で、QF取締役・マネージャー・インターナショナル・セールスのステファン・トンプソン氏は、分社化は「事業分野別に焦点を当てて取り組む」ことが目的であるとし、「あくまでコスト効率を改善するための内部的な変化」であると説明。グランドハンドリングやケータリングなど、国際線のコスト構成要素を把握し、効率化をはかる考えだ。
分社化の詳細な方法については今後数ヶ月をかけて策定していく方針だが、「消費者と旅行業界にとっては“カンタス”のまま、何も変わらない」と強調。営業や運航の面では現在のサービスの維持を重視しているという。
ただし、国際線路線網の再編の可能性については、「すでにパース線運休など複数の困難な決断をしてきているが、今後も様々な可能性を探り、運休や減便など同様の判断をすることはあり得る」とし、「それこそが、我々が黒字転換するための道だ」と言及した。
QFでは、国内線は好調で利益を上げているものの、国際線事業は燃油価格の高騰や競争激化など事業環境の変化により赤字が続いている。欧州路線は経済危機が課題となっているほか、北アジアでは中国系航空会社が相次いでオーストラリア路線を強化していることで競争が激化。また、オーストラリアとニュージーランドを結ぶトランスタスマン路線も同様に激しい競争にさらされているという。一方、「日本、北米、南米、南アフリカ路線は好調」で、日本では「さらに良い結果を得るために日本のチームとともに積極的に活動を続ける」考えだ。
なお、羽田への就航の可能性については、「羽田はとても魅力的な空港だが、成田線からの切り替えではなく、あくまで路線を追加するよう求められており、我々には現時点でそうするための機材がない」とコメント。ただし、「今後も注意深く検討していきたい」という。
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