トップインタビュー:ジェットスター(前)、国内線就航に向けた戦略

-LCCは新規需要を開拓するといわれますが、GKのターゲットは

片岡 ターゲットについては、よく「若年層か」などと聞かれるが、特に年齢層で区別していない。ポケットマネーで乗る人と会社のお金で乗る人と分けると、ポケットマネーの人は基本的にはコストを一番考えるだろう。1000円、2000円安かっただけでは増えなくても、半額、あるいはそれ以上に安い運賃であれば需要は増えていくはずだ。

 例えば、沖縄では現在は片道2万5000円であるとか3万円という運賃が流通しているが、我々は6990円から提供する。そのレベルの運賃差を出せば、今まで行かなかった人が行く可能性や、1年に1回であった人が2回、3回になる可能性もある。

 すでに航空券の販売を開始しているが、始めた瞬間にかなり先の分まで予約が入ってきている。我々は来年の3月まで予約できるようにしており、早く買えば安く買える運賃形態としているため、まったく新規の需要を取り込めていると思っている。


-ビジネス需要の可能性はあるとお考えでしょうか

片岡 成田と関空発着であるため、ビジネスにはさほど期待していない。むしろ、純粋なレジャーに加えて、単身赴任者や東京などに大都市に出てきている学生などが多くいる中で、出身地と現住所との間で家族や友人、親類などの相互の行き来の増加につながると期待している。

 LCCというと旅行需要ばかり見られがちだが、それだけではなくて、我々がオーストラリアでも東南アジアでも重視しているのは「VFR(Visit Friends and Relatives)」の伸びが非常に大きいこと。旅行は販売網を作ったり、パッケージを作ったりと時間がかかるが、VFRは思いついた時にぱっと買っていただけるのでタイムラグがない。

 全座席に占めるVFRの割合は、30%かそれ以上を見込んでいる。残りの60%か70%が旅行で、ビジネスは5%程度といったイメージでいる。テレビCMで、空港でおじいさんやおばあさんが孫を出迎える、あるいは恋人同士でどこかに行く、といったシーンを取り上げているのは、VFRを意識したものだ。

>>>後編、「グループ展開と他社との差別化」に続く
 トップインタビュー:ジェットスター(後)、グループ展開と他社との差別化