2010年の旅行消費額は23.8兆円-訪日旅行が海外旅行を上回る
観光庁が発表した2010年の国内での旅行消費額(確定値)は、前年比5.9%減の23兆8000億円となった。このうち、国内宿泊旅行が16兆1000億円で最も多く、次いで国内日帰り旅行が5兆1000億円。国内分の海外旅行は1兆2960億円に対し、訪日外国人旅行は1兆3460億円で、わずかだが訪日外国人旅行の消費額に抜かれた格好となった。海外分の海外旅行は3兆4450億円で、国内外あわせた海外旅行全体の消費額は、4兆7410円。海外分を含めた旅行消費額は25兆8780億円となる。
一人当たりの旅行回数は宿泊旅行が2.51回で、前年よりも0.21回減少。また、日帰り旅行の回数は2.49回で0.28回減少している。一方、旅行単価では、宿泊旅行は1.4%減の4万8964円、日帰り旅行は0.5%増の1万6006円となっており、観光庁では、2010年の旅行消費額の減少は旅行回数の減少が影響すると推察している。
海外旅行の費目別消費額-旅行会社収入は1620億円
旅行消費額のうち、訪日外国人旅行を除いた国民の旅行に関する国内での消費額22兆4330億円を項目別にみると、旅行前支出(カメラやカバンなど旅行に必要な品々の購入費やパスポート申請費用など)は3兆8050円で(全体の16.9%)、旅行後支出(写真の現像、クリーニングなど)は2560億円(1.1%)で、旅行中支出(交通費や宿泊費、飲食など)は18兆3720億円(81.1%)となった。
海外旅行に限ると、旅行前支出は3850億円(29.7%)、旅行後支出は240億円(1.8%)と特に旅行前支出のシェアが国内旅行よりも高まる。また、旅行中支出は8870億円(68.4%)で、このうち交通費は6140億円、旅行会社の収入は1620億円。旅行会社の収入の割合は、海外旅行消費の12.5%、海外旅行旅行中支出の18.2%となった。
旅行消費の生産波及効果はGDPの5.5%、雇用創出効果は424万人
旅行消費がもたらす生産波及効果は、直接効果を含み49兆4000億円と算出された。これは、国内生産額(GDP)の5.5%にあたる。これによる雇用効果は、総就業者数の6.6%にあたる424万人で、税収効果は4.0兆円だ。
直接効果に限ると22.7兆円で、この付加価値効果は11.5兆円(GDPの2.4%)。雇用効果は全雇用の3.6%にあたる229万人で、税収は1.8兆円となった。