現地レポート:ノルウェー(2)、顧客満足度が高まる北極圏のアクティビティ
オーロラとともにプッシュできる
北部ノルウェー、冬の観光素材
スノーホテルでもオーロラを満喫
翌朝9時45分に沿岸急行船の終着港であるキルケネスに到着。発音によってはヒルケネスとも聞こえるこの街は、ノルウェーの極東に位置し、ロシアと国境を接する。第二次大戦中にナチス軍によって占領され、旧ソビエト軍によって解放された経緯もあり、公共の標識にはノルウェー語とロシア語とが併記されている。街自体は非常に小さく、車で10分ほど郊外に行くと森林やフィヨルド、湖などの豊かな自然が広がっている。
この日は凍結した湖の近くに建つスノーホテルにチェックインした。人工雪と氷で作られたかまぼこ型のドームハウスで、直径5メートルの円形の客室が全20室ある。建物は毎年造り変えられるため、氷の彫刻による装飾も変わるが、今期のテーマは童話と南極探検とのこと。白雪姫やサンタクロース、実在の南極探検家など部屋ごとに異なる彫刻が施されていた。
室温は常にマイナス4度に保たれていて、寝る時はマットが敷かれた氷のベッドにマイナス35度まで耐えられる極地用の大型の寝袋に入る。この際に気をつけたいこととして、必ず寝袋の中で衣服を脱ぎ、脱いだ服は寝袋の中に入れたまま眠る、脱いだ靴やカバンは床に置かずベッドの上に置く、貴重品も寝袋の中に入れるなどである。さもないと翌朝、靴や衣類が冷え過ぎてすぐに身につけられない。また携帯、カメラなどを寒冷による動作障害から護るためでもある。ただ、コートなどを着て寝袋に入るよりは肌着1枚の方がかえって暖かい。
敷地内には24時間暖房の効いたロッジがあり、ラウンジやサウナ&シャワーも完備。レストランは伝統的な木造建築で、暖炉で調理されたバーベキューなどを賞味できる。
また、このスノーホテルの素晴らしいところは目の前の凍結湖がまるで雪の平原のように広がっているため、犬ゾリなどのアクティビティが楽しめるほか、夜は格好のオーロラ鑑賞地帯となる。実際にこの日も夜10時40分頃にオーロラが出始め、1時間以上にわたって形を変えながら幻想的な姿をみせてくれた。ちなみに、ホテルで貸してくれる防寒用つなぎを着ていれば深夜の観察もちぢこまることはない。
スノーホテルは毎年12月中旬から4月後半まで営業される。スーツケースなどのラゲージはあらかじめ前泊または後泊のホテルなど別の所に預け、宿泊に必要な最小限の荷物だけを持ち込むのがいい。