パウワウがLAXで開催、参加者5500名-大統領令が「強い追い風」
(ロサンゼルス発:特派 森真弓) 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで4月23日から25日にかけて(いずれも現地時間)、旅行見本市と商談会である「インターナショナルPOW WOW(パウワウ)」が開催された。同見本市はUSトラベル・アソシエーション(USTA)が主催するもので、米国内のサプライヤーと国外の旅行会社を結びつけ、米国へのインバウンド旅行を拡大することが最大の目的。今年で44回目を迎え、ロサンゼルスでの開催は2004年以来8年ぶりとなる。
今回のイベントには、米国内のツアーオペレーター、ホテル、航空会社、地域の観光局をはじめとする旅行関連企業・団体約1100組織が出展。USTA・広報担当マネージャーのキャシー・キーフ氏によると、「世界70ヶ国から旅行会社などのバイヤーが約1200名、加えて報道関係者も500名以上が参加する見込みになっており、総勢5500名の大規模なものになる」予想。同氏はまた本誌取材に対し、「世界的な不況の影響で、旅行業界をとりまく環境もこれまで厳しかったが、これを機に抜け出せそうだ、という明るいムードに会場は包まれている。我々関係者も楽観的だし、出展者の表情も希望に満ちている」と語った。
USTAをはじめ、米国の業界関係者をとりまく雰囲気が好転した最大の要因は、今年1月19日、オバマ大統領が米国旅行業界の拡大をめざす大統領令を発令したことにあるという。「米国のホスピタリティー産業はGDPの7.2%に相当し、750万人を雇用する一大ビジネスだ。にも関わらず、大統領が産業の重要性を指摘したことはかつてなかった。大統領が米国が不況を脱し、雇用を創出するうえで鍵となるのが旅行だと明言したことで、業界のムードは一転した。大統領令を受け、ビザ発給の迅速化、入国審査にかかる時間の短縮化などが実現すれば、強い追い風となることは間違いない」(キーフ氏)。
昨年のパウワウはサンフランシスコで5月下旬に開催されたが、震災後間もない実施となったため、日本からの参加バイヤー数は例年を大きく下回った。「今年は100名を超す日本人バイヤーが現地入りしている。日本の旅行業界でも、アメリカに対する注目が高まっているのは間違いない」と語るのは、ロサンゼルス観光局・ロサンゼルス国際空港(LACVB)アジア・パシフィック地区代表の安達正浩氏だ。
「2004年以来、ロサンゼルスの街は、LA Liveなどのプロジェクトが完成し、再開発が完了したダウンタウンを中心に大きく変わった。日本の旅行業界関係者に新しくなったLAを見てもらい、これまでにないユニークな商品開発につなげてもらえれば」と、同イベントに対する期待の大きさを語る。
開催地のロサンゼルスでは、その経済効果に対しても注目が集まった。ロサンゼルス観光局では、パウワウの開催により、6億5000万円の直接的な経済効果と、その後の国外からの訪問者数増加などにより、2年間から4年間で合計350億円の経済効果が得られると予測。開催期間中にも、ユニバーサルスタジオやコダックシアターで特別イベントを開催し、この機会にロサンゼルスの今をあますところなく体験してもらおうと、地元のホスピタリティー産業を総動員して取り組んだ。