アクセスランキング、1位は旅行会社満足度-めざせ「加工業」
[総評] 今週は、旅行会社の顧客満足度に関する記事が1位になりました。ネット予約サイトが6社、店舗型が6社のみが対象ですので、旅行業界全体の指標とするには不十分な内容ですが、評価が高い企業と低い企業の点数の差が他業界と比べて小さいなど、考えさせられる指摘もあります。
特に、ネット系企業の満足度が店舗型を上回っているという点は、重要な課題を示している可能性があるでしょう。調査では、利用前の期待・予想、利用後の品質評価、価格への納得感、他人への推奨度、継続的な利用意向などの指標を用いており、少なくとも旅行会社の店舗はこのいずれかの点において、旅行会社のウェブサイトよりも低い評価を受けていることになります。
指標は相互に関係するもので、一つだけが極端に低いことはなさそうですが、例えば店舗への期待値が高すぎる、あるいは価格が高いといった可能性があり得るでしょう。もし価格だとすると、店舗よりもウェブサイトの方が安いのが当たり前で、その価格差に見合う価値を店舗が提供できていないことになります。
今週は9位の記事にもある通り、17日に仙台、18日と19日に東京で、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)による第12回WTTCグローバルサミットが開催されましたが、この中でもこうした旅行会社の役割とインターネットとの関係についての議論が盛んに交わされました。
閉幕後の会見でJTB代表取締役社長の田川博己氏は、急速なデジタル化の中で「旅行のリアルな部分をどうやって高めていくか」が課題と話され、そのためには旅行会社だけでなく観光産業全体が「地域の宝、素材」を見つけて探しだす努力をし、その「宝」を「デジタルに乗せてしっかり発信していくことが求められている」と指摘されています(リンク)。
サミットの中で印象的だったのは、「加工業」としての旅行業であるべきという意見でした。要するに素材を単に売るのではなく、きちんと旅行を「作る」べきという以前から言われていたことなのですが、「加工業」という明快な単語で表現をすることで、旅行会社がめざすべき方向性がはっきりと示されたように感じました。
その意味では、4位に入った「店頭販売に新しい活路、ネット時代にこそ原点回帰」と題した記事は、加工業としての旅行業をめざす取り組みをご紹介しているといって良いでしょう。素材である航空券やホテル、アクティビティなどをどのように加工するか、そのために必要なものは何か、1位と3位の記事を合わせてお読みいただくと何かしらヒントとして得ていただけるものがあるのではないかと考えています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年4月第4週:4月15日0時~4月20日18時)
第1位
◆旅行会社の顧客満足度、1位は一休、店舗は日旅-航空はSQ(12/04/16)
第2位
◆サイパンエアーが日本就航、成田・関空に-今夏からチャーター(12/04/19)
第3位
◆インタビュー:名鉄観光 商品事業本部海外旅行部海外旅行部長の綛谷企史氏(12/04/17)
第4位
◆クローズアップ:店頭販売に新しい活路、ネット時代にこそ原点回帰(12/04/19)
第5位
◆ジェットスター・ジャパン、成田、関空発で6路線運航へ-片道3590円から(12/04/18)
第6位
◆ハワイアン航空、福岡出発便の搭乗率100%、年間80%を見込む(12/04/18)
第7位
◆香港、中川翔子さんを観光親善大使に、若者需要喚起へ(12/04/15)
第8位
◆シンガポール航空、大阪就航40周年、A380特別便を運航へ(12/04/16)
第9位
◆ビザ改善など政府に訴え、業界全体の積極的な連携で-WTTCサミット(12/04/18)
第10位
◆全日空、燃油サーチャージ値上げ、JLと同水準(12/04/16)