JTB田川氏、2012年は「元年」-WTTC閉幕、規制緩和へ活動も
ジェイティービー(JTB)代表取締役社長の田川博己氏は4月19日、自身が実行委員長を務めた第12回WTTCグローバルサミットが閉幕したことを受けて記者会見し、サミットは「終わりではなく始まり」と語り、「今回のサミットをきっかけにして次なるステージへの大いなる仕掛け」をするために、「2012年は“元年”にしなければならない」とか経った。
サミットは世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が主催したもので、4月16日から19日にかけて仙台と東京で開催。日本の復興と日本を含むアジア市場の展望や、世界の政治経済や産業構造の変化が旅行産業に与える影響、航空産業の現状、旅行産業のさらなる発展に向けた課題、多様化する消費者のニーズへの対応、社会や地球環境に対する責任の果たし方などが議論された。
田川氏は、今回のサミットで「旅行の質をどう高めるか」や、急速にデジタル化が進む中で「旅行のリアルな部分をどうやって高めていくか」といった問題提起がなされたと指摘。その上で、観光に関わる旅行、宿泊、航空、鉄道といった事業主体が、「地域の宝、素材をしっかりと探し出し、磨いていくプロセスをとっていくこと」が質を高めていく前提であり、その上で磨き上げた「宝」を「デジタルに乗せてしっかり発信していくことが求められている」と語った。
また、旅行業にとって「単にチケットを売る、宿泊を売るという単純な話よりも、しっかりとしたシナリオを作る」ことが重要となるとも強調。JTBとしては、事業骨子である「交流文化産業」とDMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)の取り組みを引き続き推し進める考えを示した。
このほか、サミットで旅行産業の成長の阻害要因として指摘された各種の規制の緩和にも取り組む方針を表明。この中で田川氏は、「オープンスカイがある程度進めば、これからやるのはクルーズだと思う」とし、日本の国際交流にとって必須である空と海のアクセスの改善に取り組んでいく意欲を示した。