アクセスランキング、1位はジェットスター、マレーシア100万人も

  • 2012年4月13日

[総評] 今週は、ジェットスター・ジャパンが国土交通省から航空輸送事業の許可を受けた記事が1位になりました。たった3文の、許可を受けたことのみをお伝えした記事ですので、まさかこれが1位になるとは思っていませんでしたが、やはりそれだけLCCへの注目は高いのでしょう。4位にもジェットスター・ジャパン常務取締役の西尾忠男氏の講演などをまとめた記事が入っています。

 LCCといえば、7位に入った「マレーシア100万人プロジェクト」の内容の中でも気になる部分がありました。同プロジェクトは日本旅行業協会(JATA)とマレーシア政府観光局が共同で推進するもので、現在平均で年間40万人というマレーシアへの日本人訪問者数を3年間で100万人に増加させる目標を掲げています。

 3年間で60万人、単純計算すれば1年あたり20万人を増やさなければならない野心的な目標設定でありながら、具体的なアクションプランが10月に決まるという点はやや心もとなく思いますが、それと同じくらい、LCCの成長を100万人達成の基礎的条件としている点も気になりました。

 2国間を移動する人数の増減が座席供給量の増減に比例することは間違いなく、LCCにせよFSCにせよ座席が増えれば日本人訪問者数も増えていくでしょう。しかし、LCCの成長によって100万人に到達すると仮定すると、その時に旅行会社がLCCときちんとした関係を構築できていなければ、旅行会社の儲けは訪問者数の増加ほどの伸び率は描けないことになります。

 お断りしておきますが、100万人が無謀であるとか、LCCに頼るべきではないと主張しているわけではありません。旅行業界と現地との協力によって100万人を達成できればこんなに素晴らしいことはありませんし、その成功のノウハウを他のデスティネーションに適用することも期待できるでしょう。

 重要なのはいかにしてそれを達成するかであり、特にJATAが取り組む以上、旅行会社の儲けに繋がることが最重要となります。ですから、100万人の目標ありきで取り組むのでなく、LCCとの関係構築を含めて、旅行会社が主体となれるようなあり方をめざさなければなりません。

 4位の記事でも触れられている通り、飛行距離が短いほどLCCと旅行会社の親和性は希薄になっていくと考えられています。マレーシアは言ってみれば中距離であり、どのように捉えるべきか判断が難しいところですが、例えばLCCが旅行会社と協業するメリットをプロジェクトに仕組みとして組み込んでしまうことは、課題解決の一つの可能性といえるのではないでしょうか。

 また、もう一つ重要と思われる点を付言すれば、旅行業界で働くできる限り多くの方、つまり読者の皆様が、それぞれアイディアを出し、意見をしていくことも必要です。効果が見えないといった否定から始めるのでなく、「この部分をこうすればこうなる」と批判や提言をしていかなければ前進はありません。旅行業界全体で「マレーシア100万人」に取り組むことができれば、大げさではなく業界が変わるチャンスになるのではないかと考えています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年4月第2週:4月8日0時~4月13日18時)
第1位
ジェットスター・ジャパン、航空運送事業の許可取得(12/04/08)

第2位
20代インタビュー:JTBメディアリテーリング 西村那恵さん(28歳)(12/04/09)

第3位
ゴールデンウィーク海外旅行は56.3万人、過去2番目の予想-JTB調査(12/04/08)

第4位
LCCと日豪旅行市場-ジェットスター・ジャパン講演を中心に(12/04/10)

第5位
日本航空、燃油サーチャージを値上げ、欧米線は往復5.2万円に(12/04/12)

第6位
スカイチーム、上級会員向けの空港サービス向上、統一へ(12/04/08)

第7位
「マレーシア100万人」に向け共同事業、JATAと観光局(12/04/10)

第8位
旅行業倒産、11年度は16件増の53件、負債は減少-3月は6件に(12/04/09)

第9位
日本航空、13年入社の新卒採用へ-業務企画30名、客室乗務200名(12/04/09)

第10位
インタビュー:ヴァージン・アトランティックCOO サウザン氏(12/04/11)