出入国管理、生体認証活用で自動化へ-出入国管理行政検討会議、中間報告

  • 2012年3月28日

 法務省は3月26日、出入国審査方法の改善を検討する「訪日外国人2500万人時代の出入国管理行政検討会議」において、中間報告を取りまとめた。会議では生体認証情報を活用した新しい出入国審査の問題を中心に議論を実施。中間報告では「当面は出入(帰)国審査の合理化方策を検討する」として、「機械を使い、『自動化』をはかる方策が最も現実的な方策」と提言した。

 自動化の前提条件としては、出入国管理上問題の無い者をあらかじめ特定し、特定された者と出入(帰)国しようとする者の同一性を確実に確認することをあげる。具体的には指紋や顔写真といった生体情報を利用し、対象者の同一性の確認をおこなう方策を検討する考えで、2012年度に研究を実施する計画だ。

 日本人の出帰国手続きの自動化については、IC旅券に搭載した顔写真を利用した顔認証による自動化ゲートの研究を実施し、12年度に実証実験をおこなう。さらに、自動化ゲートの利用促進を進める。自動化ゲートは2007年11月の成田を皮切りに羽田、関空、中部に合計20台設置しており、事前登録をした者が利用できる。今後は設置数や、事前希望者登録が受付可能な場所を増やす考え。事前登録は現在7ヶ所の入管事務局で受け付けているが、旅券事務所などでも登録可能とすることを検討していく。

 中長期にわたり日本に滞在し、再入国許可を得ている「在留外国人」への対応については、IC旅券に搭載された指紋を活用した自動化ゲートの研究を実施し、事前に利用希望者登録を要しない利用対象の拡大をはかる。また、EDカード提出が自動化ゲートの効率運用の妨げになっているとし、事前に必要な情報を取得するなどEDカード提出を不要とする方法も検討する考えだ。さらに、日本人対応と同様の取り組みも進めていく。

 在留外国人以外の外国人観光客や短期出張のビジネスマンなど「新規来日外国人」については、自動化の対象とする範囲を、査証免除を決定する際の考え方と合わせて12年度に検討するとした。入国管理局が自動化の対象者を特定する仕組みを構築する方針で、日本独自の枠組みでの自動化ゲートの活用や、他国と連携した枠組みでの自動化、確実な同一性の確認のための方法などを検討していく。また、クルーズ船の乗客に対する出入国検査の合理化も検討していくとした。

 検討会議は2011年10月14日に設置されており、6回にわたり会合を開催して観光立国実現のために出入国管理行政がはたす役割を議論した。会合では東京入国管理局羽田空港支局の視察や、関係団体としてジェイティービー(JTB)や全日空(NH)、クルーズバケーション、福岡市、警察庁へのヒアリングも実施した。今後は12年度中に中間報告や実証実験の結果などを踏まえ、具体的な方策を検討。13年度初旬に最終報告として、具体的な提言を発表する予定だ。