日本航空、手話バッチなど導入、「やさしいJAL」めざす

  • 2012年3月26日

 日本航空(JL)は3月25日、聴覚に障がいのある旅客向けに新サービスを導入する。手話ができる客室乗務員が「手話バッチ」を着用するほか、指差しでコミュニケーションができる案内ボードを国内の全空港に配備する。これらは、小さな子どもや高齢者、障がい者などJLグループ便を利用する全旅客に安心して快適な旅を楽しめるようにする「やさしいJAL」の取り組みの一環。

 手話バッチは、社内の手話インストラクターによるレベルチェックをクリアするか、社外の手話検定5級以上に合格した国内線、国際線の客室乗務員が着用。手話検定4級以上のレベルであれば「手話」、5級レベルであれば「手話勉強中です」の2種類を用意した。

 JLでは、客室乗員部で1992年から有志による手話講座が始まり、1995年に会社が正式に認定し、現在では年間600名近い客室乗務員が参加している。講座では離着陸時などに必要とされる安全に関する会話だけでなく、日常会話も含めて、機内特有の状況を中心に幅広く学習しているという。

 また、コミュニケーションボードは空港チェックインカウンターでの搭乗手続きや保安検査を受ける際に、不安やストレスを感じないで済むように工夫。カウンターでは、遅延や欠航などイレギュラー発生時のコミュニケーションをスムーズにするための情報も記載。保安検査では、例えば「中に入っていますか」の問いに、「『ハサミ』や『ナイフ』、『とがった物』など刃物」「『ライター』や『マッチ』など危険物」の答えを表記した。

 これらのコミュニケーションボードは、絵図を用いるとともに英語や中国語、韓国語でも表記し、外国人や高齢者にも対応できるように工夫。利用者がJLウェブサイトからダウンロードし、自分で使うこともできるようにしている。

 なお、JLでは1月からJLグループ便で無料で提供している飲み物の種類を一目で確認できる「お飲み物メニューカード」も用意。これらの新サービスは、2011年2月、当時高校3年生だった旅客が、利用した際に感じた不便や不安を、周囲の教師や生徒のアドバイスを受けながらJLに直接、改善提案したことが導入につながったという。