現地レポート:英国、オリンピック年に文化イベントも充実

  • 2012年3月16日

オリンピックイヤーにあわせ文化イベントもアピール
スポーツにアートや演劇、シェイクスピアのエッセンスも

ストラットフォード・アポン・エイボン
シェイクスピアの生涯をたどる旅

シェイクスピア・バースプレイス・トラストでは、シェイクスピアの生涯についての映像や貴重な資料などを展示  シェイクスピアゆかりのストラットフォード・アポン・エイボンは、ロンドンやコッツウォルズに近いこぢんまりとした町。中心街は歩いて回りやすく、ロンドンより物価が安く、典型的な英国の町を満喫できる。町から80キロほどのコベントリー・シティ・スタジアムは、オリンピックのサッカー会場となる。ここではシェイクスピアの生家や、墓のあるホーリートリニティ教会、孫や娘の暮らしたナッシュの家などシェイクスピアに関連する建物が様々あるが、まずはシェイクスピア・バースプレイス・トラストをツアーの最初に組み込むとよい。

シェイクスピアの生家で、当時の衣装を着ての解説。ポケットの代わりの皮袋を下げて  ここは、すぐ裏にあるシェイクスピアの生家を含めた5つの建物を管理している。英語のみだがシェイクスピアの生涯を映像や展示物を使って解説してくれるので、その後の観光の背景が理解しやすい。生家は1670年までは子孫が所有し、1847年から国有に。床の一部は元からのもので、父親が手袋など革職人だった当事の生活を再現するような造りになっている。窓ガラスには18世紀頃からの見学者の落書きが残る。シェイクスピアが洗礼を受け、そして永眠するホーリートリニティ教会でも、当事の洗礼台がそのまま置いてあるのに驚く。まさに歴史をその目で確かめられる場所なのだ。

タワーより、エイボン川が流れるストラットフォード・アポン・エイボンの街を一望  さて、ここまで来たらロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでの観劇は必須だが、この劇団本拠地の見学だけでもかなり興味深い。今はリハーサルのみに使用されているスワン劇場と1000人が収容できる新生のロイヤル・シェイクスピア劇場の2つからなる。見学ツアーでは、衣装部屋やかつらを合わせるためのまるで美容院のような部屋など、舞台裏を垣間見ることができる。スワン劇場は外観も古い造りのままで、歴史を感じさせるバーコーナーも。新しい劇場のタワーからは、エイボン川が流れる美しい町が一望できる。また、観劇の前に食事を楽しむためぴったりの、洒落たルーフトップレストランもある。

風格を感じるメンジーズウェルコムホテルの堂々とした外観  また、劇場に出演したジュディ・デンチなど有名俳優も御用達のパブ、ダーティ・ダックでこれぞイングリッシュパブ料理といったローストビーフとヨークシャープディングとビールで一杯もよいだろう。

街のランドマーク。ロイヤル・シェイクスピア劇場  アコモデーションは、マナーハウスを改装した歴史的なホテルもある。投宿したメンジーズウェルコムホテルは、シェイクスピアともゆかりの人物の屋敷があった地に1866年から建ち、1929年からホテルとして使われているもの。広々したロビーは、大理石の暖炉にシャンデリアが輝いて重厚感があるのと対照的に、各部屋はとてもモダンな造りで、テレビとしてPCを設置。宿泊客はインドアプールやジャグジー、スパを備えたウェルコムスパも利用できる。

 現代アートからシェイクスピアまで遡る、様々な文化的イベントがいま花盛りの英国。空港にも「GREAT」広告キャンペーンの掲示がおこなわれ、オリンピックイヤーをきっかけに、文化面でも世界から観光客を呼び込もうという盛り上がりが感じられた。


取材協力:英国政府観光庁ストラットフォード・アポン・エイボン観光局メンジーズウェルコムホテル
参考サイト: ロンドンフェスティバル2012
取材:小野アムスデン道子