アクセスランキング、1位は座席増への対処、2位はLCC

  • 2012年3月2日

[総評] 今週は、2月16日のJATA経営フォーラムで「首都圏空港発着枠拡大、航空自由化、その後」と題して開催された分科会のレポートが1位になりました。ランクインはしていませんが、ピーチ・アビエーション(MM)が初就航するなどLCCの注目も高まる中で、変化する航空事情とその中での旅行会社の採るべき道が議論されました。

 議論では、国際線の座席供給量が2012年が4000万席弱、2016年が5400万席とする前提の元で進められました。単純計算で約35%増となる大幅増で、仮に5400万席となれば搭乗率が80%となっただけで約4300万人の人々が日本を出入りすることになります。パネリストとして登壇した航空経営研究所取締役副所長の牛場春夫氏は、4300万人の内訳として出国者数と訪日外客数がそれぞれ2000万人ずつ、通過客が300万人と仮定されました。

 牛場氏はこれらの予想が「大胆な」ものであると前置きされていますが、LCCの新規参入や首都圏空港の発着枠増加などを考慮すると、増加していくことは間違いないだろうと予想されます。「鶏と卵」の関係と表現されるように座席供給量と需要は密接に関係していますから、国際線旅客数も同様の推移をたどると期待して良いでしょう。

 ただ、近畿日本ツーリスト(KNT)取締役兼執行役員の權田昌一氏など登壇された方々も指摘されている通り、座席が増え、需要が増えたとしても、それが旅行会社の儲けにつながるとは限りません。行政、LCC、既存航空会社、消費者などの動きを見極めた上で、「旅行会社が不可欠」と認識されるような手を打っていく必要があります。記事では、こうした点についての意見や提言をご紹介していますので是非ご覧ください。

 このほか、今週の2位にはライフネット生命保険が実施したLCCに関する調査の記事が入っています。おもしろいのは、高所得者ほどLCCに興味を持っていたという結果です。

 欧米、東南アジアなどでLCCが爆発的に新規需要を生み出したのは、自分が飛行機に乗ってどこかに行くことを想像すらしていなかったような人、つまり所得の低い層を取り込んだからとされています。これに対して日本は、格差が広がりつつあるとはいわれるものの諸外国と比較すればまだまだ“中流”が多い社会ではないかと思いますし、「LCC効果」も異なる形で現れるのかもしれません。

 MMなど各社が新しい需要の創出を盛んに喧伝するなかで、具体的にどういった層の需要が喚起されると考えているのか、どういった層をターゲットとするのか、今後の取材を通して探っていきたいと思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年2月第5週、3月第1週:2月26日0時~3月2日17時)
第1位
「座席増」時代の旅行会社の役割、航空会社との関係-JATA経営フォーラム(12/02/27)

第2位
「LCC利用したい」6割、高所得者が注目-ライフネット生命調査(12/02/27)

第3位
日本発航空運賃、値下がり見込み、アメックス予測(12/02/26)

第4位
ホールセール特集(2):各社販売戦略、パンフレットに力点(12/02/29)

第5位
阪急交通社が改組、阪神航空営業本部を廃止-世界展開の推進も(12/03/01)

第6位
全日空とHISが提携、国内旅行商品発売-クルーズ活用で海外、訪日商品も(12/02/27)

第7位
ANAカードとパスモ機能を一体化、「ソラチカカード」発行へ(12/02/27)

第8位
日旅、11年は減収増益、海外はプラスに-12年は攻めの投資も(12/02/29)

第9位
燃油費、チャイナエアライン値上げ、シンガポール航空は据え置き(12/02/26)

第10位
日旅、週末トラベラー好調-12年上期は名称変更、平日出発も(12/02/28)