経団連、観光立国推進基本計画に追加提言、予算増の必要性も

  • 2012年2月22日

 日本経済団体連合会(経団連)は2月21日、観光立国推進基本計画の見直しに関し、追加の提言を発表した。経団連ではすでに、2011年3月15日に「改定『観光立国推進基本計画』に望む」として提言を発表しているが、政府が震災の影響を勘案し新計画を策定することを踏まえて、追加で発表。観光立国実現に向け、政治の強いリーダーシップを求めるとともに、「野心的」な目標設定、観光庁と日本政府観光局(JNTO)の役割分担の明確化、「相応の予算」の確保などの意見を示した。

 提言では、観光立国実現に向けた施策に関する基本的な方針について、「政治の強いリーダーシップの下、政府を挙げて革新的な取り組みを進めていく決意が示されなければならない」とし、基本方針と実現に関する目標、政府の具体的な施策が相互に一貫性をもって示されるべきとした。

 目標については、震災の影響を踏まえながらも「それを克服する政治の強い意志と政府の覚悟を示す、野心的なものとする必要がある」との考えだ。また、震災からの復興・再生のため、東北での旅行消費額などを数値目標で掲げることも検討すべきとした。

 目標達成に向けた推進体制については、観光庁とJNTOの役割分担の明確化を求めた。観光庁は政府全体の観光関連施策の企画立案・総合調整機能に専念。JNTOは「日本の観光情報の継続的かつ積極的な情報発信を安定的に担うことができるよう体制強化をはかることが急務」とし、海外の事例も参考にしつつJNTO独自の財源確保も検討すべきとした。独立行政法人の制度や組織の見直しについても、JNTOの機能を強化する方向で議論が求められるという。

 また、国家戦略としての観光立国推進には「効果的な予算も重要」とした。経団連によると、観光庁資料で2009年の国内旅行消費額は25.5兆円、生産波及効果は53.1兆円で、国民経済計算の産出額の6.1%を占めている。しかし、2011年度当初予算の政府全体の観光関連予算は、総予算の0.2%の1830億円にとどまった。

 こうした状況から、「わが国経済への貢献度、『観光立国』という国の基本方針を鑑みれば、政治のリーダーシップで相応の予算を確保すべきである」とし、国民経済への貢献度に見合った予算の確保を提言した。さらに、観光による地域づくりには地方自治体の役割が重要だが、地方自治体は観光関連事業に十分に予算を割けていないと指摘。地域が観光に予算を割けるよう、国から観光振興に取り組む広域連合への財源移譲や、独自財源の確保についても検討すべきとした。