11年の旅行市場動向、後半の伸び鮮明、PKG利用者も回復
2011年の海外旅行の取扱状況で特徴的であったのが、出国者数全体に占める募集型企画旅行の取扱人数の割合が下がった点。2010年は通年で26.2%であったが、2011年は24.4%となり、1.8ポイント減少した。第4四半期のみで見ると0.1ポイント増の24.9%と僅かながら2010年を上回っているが、第1四半期から第3四半期までは2.1ポイント減、2.7ポイント減、2.9ポイント減となっている。
こうした傾向は、震災の発生後に募集型企画旅行の参加者が予約をキャンセルして旅行を「自粛」したのに対し、FITにはこうした反応が比較的少なかった可能性がある。この仮定の上に立てば、先述の通り募集型企画旅行の取扱人数の割合は第4四半期に前年並みに回復していることから、この時点で「自粛」の意識はほぼ完全に消えたということができる。
一方で、募集型企画旅行の取扱額が、海外旅行全体の取扱額に占める割合は第1四半期から0.1ポイント減、3.9ポイント減、6.2ポイント増、2.2ポイント増の順番で推移しており、募集型企画旅行の取扱1人あたりの単価が増加していることがわかる。事実、単価は第1四半期から9.8%増、5.7%増、5.0%増、1.3%増、通年では5.6%増の16万5293円となっている。
出国者数全体に占める募集型企画旅行参加者数の割合の減少率が、取扱額の割合の減少率を下回っているこれらの数値は、高単価の募集型企画旅行に申し込んだ消費者が「自粛」しにくかった可能性を示しているといえるだろう。