タイへ送客120万人-JATAとTCEBが目標、インセンティブ特化で復興支援へ
日本旅行業協会(JATA)VWC推進室とタイ国コンベンション&エキジビジョン・ビューロー(TCEB)は、2012年のタイへの日本人訪問者数の目標値を前年比6.5%増の120万人とし、渡航者増加をめざすことで一致した。JATA会長の金井耿氏は「タイは東日本大震災後、いち早く送客をしていただいた。今度は日本が支援したい。洪水での減少分を取り戻し、全体のアウトバウンド増加に繋げる」と目的を説明。金井氏は、昨年12月に現地を視察しており、また、外務省も12月26日付で危険情報の引き下げをしていることから「観光の体制は整っている」と強調する。
業界向けには団体旅行の復活を目的に、インセンティブに特化した支援策を展開。2月7日と9日には東京と大阪でセミナーとワークショップを開催するほか、3月には実体験を織り込んだ現地研修旅行を実施する。このほか、7月にはタイで開催される団体セールス担当者や企業企画担当者などを対象にした「コネクション・プラス」への参加を予定している。一方、消費者向けには羽田国際線1周年キャンペーンや成田利用促進共同キャンペーンなどと連動してタイを位置づけ、需要拡大につなげる。
TCEBとしても、団体向けのサポートを予定している。来日したTCEB社長のアカポン・ソラスチャート氏によると、今年は「選択肢の豊富な目的地」を打ち出し、フレキシビリティをいかして日本の需要に対応していく。また、入国手続きではMICE団体を対象に事前予約制で「MICEレーン」という特別入国手続きの対応を開始しているほか、今後は100人以上を目安に団体の規模や人数、目的に応じて金銭的なサポートの実施も検討する。
MICEへの洪水の影響については、日本市場では4団体がキャンセルになったが、大規模団体はいずれも延期して実施することが確定している。MICEでの日本人渡航者数は全体の約10%で約10万人だが、2012年は10%増の約11万人を目安としている。アカポン氏は「観光地やコンベンションセンターなど、MICE関連施設への洪水の影響はない。ぜひ訪れてほしい」と呼びかけた。
▽春くらいに前年並みか-団体も回復の兆しあり
金井氏によると、タイへの日本人旅行需要は洪水後に大きく減少したものの、海外旅行全体の回復基調にあわせて戻りつつあり、12月時点でマイナス10%弱にまで減少幅が縮まった。しかし、タイの観光が通常通り可能という情報が行き届いていないこと、年明け後のツアー再開が多かったことから、「春くらいから前年並みに持ち上がり、120万人に向けて上昇気流を維持できれば」と予測と期待を述べる。
団体需要について、タイ国政府観光庁(TAT)東京事務所マーケティング・マネージャーの藤村喜章氏によると、前年比ではマイナスだが、月を追うごとに減少幅は縮小し、徐々にグループの問い合わせも戻ってきているという。タイでは「個人旅行が戻り、その口コミでグループが戻るという流れが顕著」だといい、回復に自信を見せる。タイとしても大規模なキャンペーンを実施する予定で、今後詳細を発表する予定だ。