スイス・インター、夏は増便で成田発需要に対応、冬も新プロモで強化へ
スイス・インターナショナル(LX)は2012年5月26日から9月23日まで、成田/チューリッヒ便を2便増便し、週9便を運航する。LXの子会社であるエーデルワイス航空(WK)をウェットリースし、運航するもの。現在、政府認可申請中だ。機材はエアバスA330-200型機で、座席数は合計285席。計算すると期間中、9975席が増加することになる。ただし、昨年まで実施していたWKの地方発を含むチャーター便をウェットリースするため、LX日本支社長の岡部昇氏によると、座席数は「昨年実施したチャーター便を含めて比較すると、前年と同じ程度」だという。
岡部氏は業界誌との懇談会で、増便の理由を「夏の需要増加に対応する。特に、成田発需要が強い」と説明。熟年・シニアの需要が強く、今夏の動向も「特に悪い話は聞いておらず、伸びていくだろう」と見込む。シニア・熟年のレジャー需要が中心で、ほとんどが旅行会社経由の予約だが、約7割がパッケージなどのグループ。残りがFITだといい、「熟年・シニアのFITが増えている。シャレーやアパートで1週間以上の長期滞在も増えており、帰国時に翌年の予約をしていく傾向も見られる」という。
一方、冬については「新しいスイスを楽しんでもらうプロモーションを開始する」として、冬のハイキングツアーの造成促進に取り組む。「冬期も座席は埋まるが、以遠利用が多い。冬もさらに増やし、夏だけでなく通年で増便させたい」とのねらいだ。
スイスを含む欧州各国では冬の時期、都市部は曇天の日が多いが、標高1000メートル以上の高地は比較的晴れて昼間は暖かいことが多いため、レジャーとして冬のハイキングが定着している。高地のリゾートは欧州各地からの旅行者が多くレートが高いが、都市部は夏よりも安くなることから、航空運賃やホテルが安い時期であることも武器に「シニアを中心に、値段的にファミリーや若いカップルも取り込めるのでは」と見込む。すでに冬のハイクを組み込むツアーを販売する会社もあるが、さらに「市場に広く出回るようにしたい」との考え。スイス政府観光局と共同でプロモーションに取り組み、1月末にはスタディツアーを実施するほか、日本語ガイドも発行する予定だ。
▽2011年は黒字確保、欧州発の完全回復はこれから
2011年はLX全体として過去最高の旅客数となった。日本路線に限ると、年間の利用率は前年比で7ポイント減、売上は5%減。ただし、岡部氏によると「東日本大震災の影響で3月から5月は赤字であったが、黒字を確保した」といい、当初の懸念よりも良い結果となったと話す。2012年は「日本発旅客は昨年震災で落ち込んだ旅客数が戻る」と予測するものの、欧州発はまだ完全回復となっていない。ただし、12月は前年を上回っており、「12月に日本で開催された唯FIFAクラブワールドカップの影響が考えられる。本当に回復しているのかどうかは1月以降の動向を見る必要がある」と見ている。