トラベル懇話会、「旅の力」を実感-12年は団塊世代に期待
トラベル懇話会は1月6日、新春講演会を開催した。同会会長の林田建夫氏は2011年について、東日本大震災からの復興に際し「旅の力が我々に大きな勇気と希望を与えてくれた」とし、「ツーリズム産業が時代を牽引するという自負と信念を持って、今年も営業活動を続けていきたい」と意気込みを述べた。
同氏は2011年は震災や原発事故で旅行需要が落ち込むなか「沈滞ムードの中で、がんばれ日本を合言葉に業界一丸となって取り組み、旅の力を信じて復興の努力をした」と振り返った。観光庁や日本旅行業協会(JATA)、トラベル懇話会などの旅行業関連団体の取り組みも奏功し、出国日本人数は4月から「劇的に回復した」という。
12年についても韓国の麗水世界博覧会、夏のロンドン・オリンピックといったイベントに加え、日中国交正常化40周年、インド、スリランカの国交樹立60周年といった国際行事の多様さをプラス要因としてあげた。さらに、「今年は団塊の世代といわれる熟年層が本格的に(旅行)市場に参入してくる年でもある」とし、「我々の需要をさらに押し上げるのではないか」と期待を示した。
一方、今年はアメリカやロシア、韓国などの各国のトップが選挙で交代するなど世界各地で変化が起こることから「こうした変化の中で、時代の流れに取り残されることなく、速やかにビジネスモデルを変えていかないといけない」と考えを述べた。
講演会では観光庁長官の溝畑宏氏も登壇し、震災後、旅行の自粛傾向が続くなか「旅行業界の皆様が一緒になって頑張ってくださった結果、国内観光は世界の皆様が驚くほどのスピードで回復に向かった」と感謝の意を示した。同氏は「観光を通し、多くの日本人が日本の魅力やそれを作る旅の魅力を感じてくれたのではないか」と述べ「2012年は積極的に攻勢に出る非常に大事な年」と意欲を見せた。
国内観光についてはスポーツや文化、アニメ、ファッション、食などの様々な魅力を発信するとともに、旅行会社に対し「消費者の皆さんと(そうした魅力を)繋ぐのは皆様の重要な責務」と協力を求めた。また、インバウンドについては「本格的な回復には特に1、2月が勝負」とし、「他省庁と連携し、ビザの問題や入管問題、プライベートジェットやLCCの導入など環境整備を進めていきたい」考えを示した。