タイ、洪水で31万人の需要減
-感染症リスクなく、年明けの回復見込む
(バンコク発:本誌 山田紀子) タイ国政府観光庁(TAT)副総裁のサンスーン・ガオランシータイ氏は12月13日、TATが実施するメガFAMに参加した日本からの旅行会社、メディアに、10月に発生した洪水の観光への影響と今後の対策を説明した。
2011年の全世界からの訪問者数は、10月まで前年比25%増の1579万9037人、日本からも23%増の99万2319人と好調に推移していた。しかし、洪水がバンコクに影響を及ぼし始めた10月22日から10月末までの全世界からの訪問者数は、前年比で4万790万人減、11月は27万4101人減となり、観光収入では約250億バーツ減少したと推計する。洪水の影響を踏まえ、2011年通年の目標値を1900万人から1830万人(前年実績比13.6%増)、日本市場は120万人から104万人(同:4%増)に下方修正した。ただし、TAT東京事務所マーケティング・マネージャーの藤村喜章氏によると、訪タイ日本人客数は11月末で104万人を超え、2011年は110万人程度に着地する見込みだという。
サンスーン氏は現在、洪水の沈静化を強調。バンコクの場合、50区のうち浸水した地域は20区であり、いずれも郊外であることを説明し、今年中にはバンコクの浸水地域がゼロになるというバンコク都庁の発表も紹介した。日本市場では12月下旬の航空座席が満席になっている状況もあること、個人で旅行を決断できるFITの割合が約7割と高いことから、タイへの日本人旅行者数は12年1月の第2週以降には通常通りに戻ると見ている。
一方、懸念されている感染症については、保健省の対策を説明。浸水のあった地域に役人を派遣し、水の流れのない場所には有機物を投棄して水が腐らないようコントロールしている。現在までに感染症の発生は確認されておらず、今後も維持できる状態にあるという。また、治水対策では政府内に特別委員会として治水開発計画委員会を設置し、大規模な洪水を防ぐ体制を整えているとした。
TATでは今後、回復に向けたマーケティングプラン「ビューティフル・タイランド」を実施。日本市場では、世界規模で実施するロードショーを2012年に復活させて7月23日から26日の期間、東京と大阪、福岡で開催する。また、12月23日から日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏をはじめ会員の大手旅行会社の幹部を招き、日本の旅行業界全体でタイへの送客を高める施策を検討する予定だ。
TATは2012年の外国人観光客数を6.3%増の1955万人とする目標を掲げており、日本市場では120万人から130万人の誘致を目標としている。