10月出国者数、5.1%増で通年もプラスに-訪日は香港など伸び
日本政府観光局(JNTO)が取りまとめた2011年10月の出国者数(速報値)は、前年比5.1%増の151万人となり、7月から4ヶ月連続で前年を上回った。これにより、1月からの累計が0.7%増の1403万5000人となった。震災によって3月から6月までの3ヶ月間は7.4%減の495万5056人と大きく減少したものの、年初に2月が7.9%増となるなど好調であったこと、さらに7月以降も円高などが追い風となってプラスに転じたことで、全体でもプラス成長に戻した。
一方、訪日外客数は15.3%減の61万5800人で、通年も30.5%減の509万5400人。ただし、単月での15.3%減は震災発生後では最も減少幅が小さい。国・地域別でも、最大の市場である韓国は円高の影響もあって31.7%減の13万2300人と低調であったが、中国が前年とほぼ変わらず10万6200人、台湾が2.6%増の10万8400人、香港が16.7%増の3万5500人と増加した。前月にプラス成長していたタイは29.9%減の1万9500人となったが、バンコクなどで発生した洪水による影響と見られる。
観光庁長官の溝畑宏氏は11月18日の定例会見で、「予想より早く回復している」とコメント。「欧州はまだ厳しい」としつつ、アメリカが11.2%減の5万8600人、イギリスが9.2%減の1万6800人となったことに触れ、10%前後まで回復したことは良い傾向であると歓迎した。溝畑氏は、震災発生後に海外から旅行会社やメディアを1000名規模で招請してきたことや、日本にいる留学生から情報発信をしてもらったことなど、「海外の消費者目線に立った情報発信が効果を発揮した」と分析。今後も積極的に取り組んでいきたいと語った。