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アクセスランキング、1位はDLバーニア支社長、LCC関連も3本

DL太平洋地区営業統括本部長兼日本支社長のジェフリー・S・バーニアー氏[総評] 今週は、デルタ航空(DL)太平洋地区営業統括本部長兼日本支社長のジェフリー・S・バーニアー氏のインタビューが1位になりました。日本市場で非常に大きな存在感を放つDLについてとあって、多くの方に読んでいただけたのではないかと考えています。

 関係のない話ですが、15年もの日本での業界経験はさすがの一言で、私が拙い英語でインタビューをしていると、英語でのお返事の合間に「なんだったかな…」といった日本語が自然に入り込んでくるのには、驚くやらこちらの英語力が恥ずかしくなるやらで大変でした。次の機会には何とか日本語でお願いしたいと切望しています。

 アクセスランキングの2位は、韓国のLCCであるティーウェイ航空(TW)が福岡/仁川線に就航するニュースが入りました。福岡は、DLも12月からホノルル線の就航を予定していますが、旅行業界の動きが活発化しているように感じられます。

 気になって調べてみたところ、トラベルビジョンで掲載した全ての記事のうち「福岡」の文字を含む記事の割合は、2008年は4.3%、2009年と2010年は4.0%でしたが、2011年は4.9%と増えていました。単純な計算ですので何かの根拠になるようなものではありませんが、例年よりも話題性があることは確かでしょう。福岡だけでなく、日本各地でこうした話題が次々に飛び出すようになってくれればと願っています。

 今週はこのほか、TW以外にも6位のエアアジア・ジャパン、9位のジェットスター航空(JQ)と合計3本のLCC関連ニュースがランクインしており、「LCC元年」となりそうな来年に向けて注目度の高まりを感じています。

 興味深かったのは、9位のJQがニュージーランド政府観光局(TNZ)と提携したニュースです。発表文の中でJQは、来年運航開始を予定するジェットスター・ジャパンが、日本の地方市場からニュージーランドへの旅行者増を可能にするとはっきり書いています。ということは、当然ながらジェットスター・ジャパンの国内線を、JQの国際線との乗り継ぎに配慮した運航スケジュールにするということでしょう。

 今回のTNZとの提携では、日本だけでなくシンガポールなどの市場でも同様の取り組みを進めるとしています。こうした点だけ見れば、JQの戦略は、一般的にポイントトゥポイントで2地点間の需要取り込みを進めるとされるLCCではなく、ハブアンドスポーク型のネットワークキャリアに近いように思われます。

 エアアジア・ジャパンやピーチ(MM)は、エアアジアX(D7)や全日空(NH)との乗り継ぎにどの程度配慮するかについて明らかになっていませんが、JQと差異が生まれる可能性はあります。同様の差異は流通戦略にも出ており、ピーチ代表取締役CEOの井上慎一氏が「コストのかかる従来のフルサービスキャリアと旅行会社との関係はない。パッケージツアーも考えていない」と話されるのに対し、JQグループでは国内線でも旅行会社の販売に期待するとしています。

 このように考えると、客室乗務員が機内清掃をしたり、チェックインカウンターのスタッフが搭乗手続きも担当したりするテクニカルな共通点を除けば、LCCの定義とは結局のところ「LCCを名乗る」かどうかなのではないかと思います。つまり、「我々はLCCである」と宣言することで、「旧世代の時代遅れな航空会社ではなく、革新的なビジネスモデルで格安な運賃を提供する航空会社なんだ」と訴えるわけです。

 こんな大雑把な定義もいかがなものかと思いますが、来年を迎えるにあたっての心構えとしては適切かもしれません。要するに、まるで黒船かなにかのように「LCCが来るぞ!」という大騒ぎが業界の内外で聞こえても、実際に来るのは路線展開も流通戦略も異なる(であろう)個々の航空会社です。それらに共通する特徴や、総体としての「LCC」が旅行市場にもたらす変化は把握しつつ、後は個々の航空会社の考え方や事情を理解し対応していくことが、「LCC時代」においてあるべき姿なのではないかと思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年11月第3週:11月13日0時~11月18日18時)
第1位
トップインタビュー:デルタ航空日本支社長ジェフリー・バーニアー氏(11/11/14)

第2位
韓国のティーウェイ航空、日本就航へ-12月から福岡/仁川線(11/11/15)

第3位
国際航空の満足度1位はシンガポール航空、国内交通はスターフライヤーに(11/11/15)

第4位
ブリティッシュ・エアウェイズ、2万円追加でファーストクラスに(11/11/15)

第5位
全日空、新シートの導入路線拡大、機内食などサービス刷新も(11/11/15)

第6位
エアアジア・ジャパン、客室乗務員の募集開始、60名程度(11/11/13)

第7位
中国南方航空、日本/豪パース線の販売強化、利便性と価格で(11/11/15)

第8位
KNT、「テレビショッピング」開始へ、200名送客めざす(11/11/16)

第9位
ジェットスターとTNZが提携、JALとの新会社で地方需要も(11/11/17)

第10位
上半期の米航空業界、需要は増加傾向-旅客数1位はデルタ航空(11/11/16)