現地レポート:ケニア(1)、大自然の魅力-周遊型から滞在型まで造成可能
ケニア、新たな発想で多様な商品造成の可能性
大自然周遊ツアーからハネムーン、短い日程の商品も
ケニア旅行といえば「広大なサバンナで、アフリカゾウやライオンなど憧れの野生動物を観察する」という絵柄が一般的。8日間から10日間ほどの日程で国立公園や国立保護区を周遊するパッケージツアーが多く、旅行者のイメージも旅行商品も画一的であるのは否めない。オリジナリティのある商品を造成し、旅行者の動機付けにつながるヒントはないか――。ケニア政府観光局は10月、ナイロビでトラベルフェア「マジカル・ケニア・トラベル・エクスポ」を開催し、研修旅行を実施。30年以上にわたってアフリカ旅行を専門に取り扱うスペシャリストからケニアのツアー造成に新規参入する旅行会社の若手など、経験も年齢も性別も異なる参加者が集結し、忌憚なく意見を交換する有意義なものになった。
王道マサイマラのモノステイで
“弾丸”旅行商品も可能
ケニアのパッケージツアーの目玉となる素材が、マサイマラ国立保護区でのサファリ体験だ。生息する野生動物の数・種類は、ともにケニア一。「ビッグ5」といわれるライオン、アフリカゾウ、バッファロー、サイ、ヒョウが比較的見やすいエリアとしても知られる。研修旅行中は、ほぼ1日のサファリで、ビッグ5のうちヒョウを除く4種類を観察することができた。
サファリ観光は、宿泊施設がガイドとドライバーつきでアレンジするのが一般的。滞在先によって車のランクや乗車人数、サファリの内容などが異なる。宿泊施設はタイプや利便性、立地などが異なり、バリエーションが豊富。例えば国立保護区内にあり動物の息づかいまで聞こえるテントタイプのものや、高台からサバンナを見晴らす眺望が特徴のロッジ、客室数を抑えてラグジュアリーなサービスを提供するロッジなどもある。
マサイマラは灌木が少なく、草原が広がり見晴らしがいいので、狩りをするなど動物が活発になる朝や夕方に数時間のサファリを組むことが多い。その他、気球に乗って空中からサバンナを見下ろすバルーンサファリや、昼食を挟んでのロングサファリも可能だ。また、マサイマラへの移動は、陸路のほか旅情豊かな小型飛行機もある。これらを組み合わせれば、商品造成の選択肢はふくらむ。動物観察が目的のリピーターなら、国立保護区内のロッジに宿泊してロングサファリを組み合わせる商品がアピールできるし、初めてケニアを訪問する旅行者なら、快適な滞在を優先して提案したい。
現地を視察した参加者が可能性を見出していたのは「ハネムーン商品」と「短い日程での商品」の展開だ。ハネムーン商品としては、ラグジュアリーなリゾートホテルに滞在して朝と夕方はカップルで動物の観察を楽しみ、昼はプールサイドやスパでゆっくり過ごしリゾート気分を満喫する。バルーンサファリでシャンパン付き朝食を組み合わせるなど、予算に応じた選択肢がある。
短い日程の商品には、小型飛行機を使用する。「ケニア旅行には長期休暇が必要」という先入観を覆す3泊5日ほどの短いパッケージツアーで、マサイマラのモノステイを提案する。「流行している弾丸旅行なら、長期休暇がとりにくい20代、30代にもアピールできる」と参加者。その他、サバンナに沈む夕陽を眺めながら自然の雄大さを感じたり、野生動物の生態系から命の意味を考えるなど、スピリチュアル・ツアーに発展させる可能性もあると、話す参加者もいた。