グローバル人材を育てるオーストラリアの教育旅行-日豪ツーリズム学会
日豪ツーリズム学会では官・産・学の3分野の学術研究により、日本/オーストラリア間の観光交流拡大の手法の確立と発展への貢献をめざしている。先ごろ開催した第7回・研究発表会は、「観光産業における教育旅行」がテーマ。今後の学生旅行や教育旅行に携わる旅行会社にも参考になる発表が聞かれた。基調講演では、在大阪オーストラリア総領事館総領事のクリストファー・リース氏が「日本のグローバル人材ニーズと豪州のホスピタリティ教育」として、オーストラリアで受ける観光関連教育のメリットを紹介。研究発表会では教育旅行関連として「日本の若者はオーストラリアをどう見ているか」、「フィルム・ツーリズムと教育旅行」について発表された。
オーストラリアはホスピタリティ産業を学ぶ最適地
基調講演でリース氏はまず、グローバルな経済活動が拡大していくなかで最も重要な取り組みは人材育成だとする、経団連の調査結果を紹介。文部科学大臣も若い世代の留学をすすめているとして、現在の新卒採用偏向の就職形式を変えていくことが必要だと説いた。また、グローバル人材の育成に力を入れている企業として、ユニクロと楽天を例にあげ、英語によるコミュニケーションスキルを向上させていくことが大切だと主張した。
一方、オーストラリアの教育事情について、第3位の輸出産業になっていると紹介。留学生の比率も20.2%とOECD諸国のなかでトップであり、日本の3%を大きく上回っている。また、アジアからホスピタリティ教育を受けに来豪する学生も多い。最も多いのは中国からで、日本からの学生はベトナムやインドネシアよりも少ないのが現状だ。
オーストラリア政府は近年、ホスピタリティ産業の育成に力を入れてきた。その結果、雇用は過去20年間で約40%も増加。同時に、産学一体となったホスピタリティ教育の拡充も推進し、世界的に認められているスイス・ホテル・アソシエーションの学位を大学で取得できるほか、インターシップ機会なども豊富に提供している。こうした背景から、リース氏は、オーストラリアはホスピタリティ産業を学べる最適なところであると強調。日本の企業や学校にさまざまなプログラムを提供できると付け加えた。