アクセスランキング、1位はカンタス欠航、タイ洪水もランクイン
[総評] 今週は、カンタス航空(QF)が約2日間にわたって全路線の運航を停止した記事が1位になりました。労働組合のストライキへの対抗措置とのことで、今週はエールフランス航空(AF)もストライキで成田線を欠航しており、労使交渉による影響が目立った1週間といえそうです。個人的にはそういったイレギュラーも旅行の一部として楽しんでしまおうとする性格ですが、旅客として、あるいは旅行業界に身を置く人間としては歓迎できるものではありません。
ストライキにも対抗措置にもなじみのない現在の日本人の1人として、なぜこんな迷惑をお客様におかけして平気なのかとも思ってしまいますが、考えてみるとこの発想自体が日本的なのかもしれません。「お客様は神様」という言葉がありますが、キリスト教やイスラム教が掲げる「神の元の平等」と比較すると、相対性と絶対性と言っていいのかわかりませんが、その違いが目立ちます。
また、あるニュースでは、オーストラリアの税関職員がストライキを実行し3年間で約11%の賃上げを勝ち取ったと伝えていました。日本とオーストラリアでは諸条件が異なりますが、もし3年間で約11%のベースアップが引き出せるなら、ストライキをする人の気持ちも理解できそうな気がします。日本人がそうしないのは、「神様」に迷惑をかけたくないからか、それに見合う大きな成果が期待できないからか、それとも別の理由があるのか、おもしろいテーマではないかと思います。
さて、今週はこのほか、3位にバンコクの続報が入りました。読者の皆様の中には、バンコクの情報について一般メディアが毎日のように報じる内容と、トラベルビジョンがお伝えする内容が違いすぎるとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんので、ここで改めてトラベルビジョンとしての考え方をお示ししたいと思います。
メディアの中立性などという表現をよく聞きますが、トラベルビジョンは「旅行業界、特に旅行会社の発展に資するため」に存在しており、その意味でははっきりと偏っているといって差し支えありません。例えば1時間の記者会見の内容を数分で読める記事にまとめるとした場合、一定の基準を元に情報の取捨選択をすることになり、トラベルビジョンにとっての基準は、旅行業界の発展につながるかどうかが最も重要であり、その上で客観的に情報をお伝えできるよう努めています。
このように、どのメディアも大なり小なり主観が介在するのは間違いありません。本当の客観性とは、バンコクの郊外から市内までの至るところに、あるいはすべての記者会見にウェブカメラでも設置して、それを観たい人が観るということでしょう。しかし、それは現実的ではなく、まして情報を受容する側もそんなに暇ではないはずです。
バンコクの話に戻りますと、バンコクが「未曾有の危機」であるとする大多数のメディアと、「影響は一部のみ」と伝えるトラベルビジョンと、おそらくいずれも嘘を付いているわけではありません。おそらく、というのは、トラベルビジョンは現地に支局機能を持っておらず、現地オペレーターやタイ国政府観光庁(TAT)、日本大使館の皆様のお力を電話やメールでお借りしているためです。
仮に、どちらも事実を報じているとすれば、なぜこうも違うのかといえば、それは別の基準に則り、別の切り口で別の目的のために書いているからです。私たちは、洪水の被害が発生していることやその影響はきちんとお伝えしつつ、旅行業界誌としてタイ、あるいはバンコクのすべてが水没しているわけではなく、旅行者をお迎えできる場所とそうでない場所があるだけだと知っていただきたいのです。
もちろん、旅行会社の皆様に、大丈夫なところがあるから今すぐお客様にお勧めしてくださいというわけではありません。お客様の安全を確保することは旅行会社の最大の役割の一つです。しかし、状況を正しく説明できる情報を持っておくことも絶対に必要です。旅行会社は、お客様に対してだけでなく、風評被害に苦しむ現地のサプライヤーや観光関係者に対してもその「価値」を提供できるはずです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年10月第5週、11月第1週:10月28日0時~11月4日18時)
第1位
◆カンタス航空、全路線運航停止、労組ストに対抗(11/10/30)
第2位
◆20代インタビュー:日本旅行 国内旅行HP編集担当 児島奈津子さん(25歳)(11/10/31)
第3位
◆バンコクの水位低下傾向か、影響長期化見込む旅行会社も(11/10/31)
第4位
◆エールフランス航空、10月29日から11月2日にスト-成田線の欠航が確定(11/10/28)
第5位
◆MICE事例に学ぶ(1):実施者の決め手と観光局の施策-香港社員旅行より(11/11/01)
◆MICE事例に学ぶ(2):計画から実施、旅行会社のサポート-非常時対応も(11/11/02)
第6位
◆インド、ビザ要件再変更-観光促進委、さらなる緩和めざす(11/11/01)
第7位
◆ガルーダ、12年羽田就航に意欲-中期経営戦略、機材73%増へ(11/10/30)
第8位
◆ニュージーランド航空、クライストチャーチ線の運航再開(11/11/01)
第9位
◆約款見直しは「必要」、観光庁検討会で共通認識(11/11/01)
第10位
◆JTB新紀元、パッケージ認知向上へBtoBtoCも-12年度1万人めざす(11/11/02)