アクセスランキング、2週連続でタイが1位、LCC関連も3件

  • 2011年10月21日

[総評] 今週のアクセスランキングは、先週に続いてタイの洪水に関するニュースが1位になりました。今回の洪水の被害は7月末から続いていますが、バンコク北部で道路の冠水が始まったとの報道もあります。すでに300名を超える方が亡くなられたと聞き、3月の津波を思い出して胸が潰れるような思いでいます。日本人訪問者数が100万人を超えるタイへのダメージは日本市場へのダメージに直結しますが、今はそれを抜きにして、ただ早期の収束を願うばかりです。

 ただ、自戒の念を込めて書きますが、旅行業界で働く我々は、一般報道は常に悲惨な部分ばかりを強調するということも忘れてはなりません。現地のオペレーターの方からお話しをお伺いしたところ、予断は許さないものの、現時点においてはバンコク全体で浸水などの洪水の被害が出ているわけではないそうです。

 バンコク全体の面積は約1568平方キロとのことで、東京都は2188平方キロ、23区が622平方キロですから、ちょうど東京都から23区を除いた程度の面積があることになります。関西の方でしたら、大阪府が1900平方キロ弱ですから、そちらの方がイメージしやすいでしょうか。それだけの土地を「バンコク」という言葉で一括りにしてしまうことの危うさを認識し、正確な情報の収集に努めるとともに、それをお客様にきちんとお伝えしていくことが責務です。

 今週はこのほか、LCC関係の記事も3件ランクインしました。やはり、来るべき「LCC時代」に向けて皆様の関心も高いのだろうと感じています。4位の記事では、運輸政策研究機構国際問題研究所が設立20周年を記念して開催したセミナーでの議論をお伝えしましたが、書きたいことが多すぎたため2回に分けることにしました。来週掲載予定の次回は、「日本版LCC」の可能性について、ピーチ・アビエーションCEOの井上慎一氏やジェットスター(JQ)グループCEOのブルース・ブキャナン氏がどのようにお考えかをお伝えしたいと思います。

 また、6位に入った記事では、ジェットスター・ジャパンが就航予定の国内線でも、旅行会社の販売に期待するとの方針をお伝えしました。国内線ですから国際線よりも直販比率は高くなるのは当然でしょう。しかし、個人的には国内のLCCが一度に3社も就航すれば、既存の航空会社、つまりフルサービスキャリア(FSC)かLCCかはわかりませんが、旅行会社の役割が見直される時が来ると考えています。

 今でも続いているかは未確認ですが、エア・カナダ(AC)は2009年に、LCCとの競争の中で、カナダ国内線の一部運賃についてカナダの旅行会社向けにコミッションを復活しています。同じことが日本でも起きるとは限りませんけれども、少なくとも同じような方向の揺り戻しが起きる可能性はあるでしょう。

 特に、LCCは一般的にウェブサイトでの販売を重視しますから、LCCと既存の航空会社の直接的な主戦場はオンラインの世界になります。オンラインで何が武器になり得るかといえば値段です。値下げ競争を嫌って値段は据え置きつつサービスを積み上げることもあり得ますが、サービスのコストはかかりますから体力を削られる点では大差ありません。

 そのような環境の中で、旅行会社が旅行のプロとしての価値を消費者に提供し、航空会社には利益をもたらすことができれば、旅行会社と航空会社の関係にも変化が起きるはずです。価値を提供するためには、ただ売るだけでなく、LCCとFSCそれぞれの特徴や市場への適性を考え、販売していく必要があります。LCCに適した販売戦略とはなにか、それを考えることが「LCC時代」を迎える準備になるはずです。

 LCCについては、色々と編集部内で企画を温めていながらなかなか手を付けられず、もどかしく思っていますが、できる限りスピード感をもって皆様に情報をお届けしてまいります。皆様もアイディアや気になる点がありましたら、いつでもお知らせ下さい。(editor@travelvision.co.jp)(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年10月第4週:10月15日0時~10月21日18時)
第1位
タイ洪水でツアー再開延期、バンコクツアー中止も(11/10/15)
タイ国際航空、豪雨・洪水による日程・経路変更に対応(11/10/19)
バンコクツアー、クラツー中止、日旅は催行も取消料なしでキャンセル対応<訂正>(11/10/17)

第2位
スマホ、位置情報、拡張現実-ITマーケティングと旅行・観光分野の可能性(11/10/17)

第3位
ルフトハンザ、成田/デュッセルドルフ線開設へ、来年6月予定(11/10/17)

第4位
LCCの急拡大とその効果、日本版LCCの可能性も(その1)(11/10/21)

第5位
欧州エキスプレス、ランド事業開始へ、初年度3万名めざす(11/10/17)

第6位
ジェットスター、国内線も旅行会社の販売に期待-新運賃体系も(11/10/20)

第7位
春秋航空、茨城線を週5便に増便、11月15日から(11/10/16)

第8位
スイス・インター、ブランディング強化、新ロゴ採用で(11/10/19)

第9位
タヒチ、リカバリープランの一環でメガFAM開催-客層拡大への提案も(11/10/19)

第10位
ANAセ、羽田/フランク線記念ツアー、B787で運航(11/10/17)