日本の企業出張、費用が増加傾向、従来型の手配が多数-日旅アメックス調査
日本旅行・アメリカンエキスプレス(日旅アメックス)は先ごろ、日本企業の出張動向や出張の効果、震災後の出張予算などに関する調査結果「ジャパン・ビジネス・トラベルバロメーター」の結果を発表した。日本の上場企業、および日本の大手外資系企業で出張を管理する管理職200名を対象にした調査で、東日本大震災後の3月下旬から4月にかけて、電話と郵送調査で実施した。
▽世界で3番目の市場規模
日旅アメックスによると、日本の業務出張市場は、アメリカ、中国に続き、世界で3番目に大きな市場であり、日本の旅行取扱高全体の3分の1を占めているという。
景気低迷が続く中、コスト削減の観点で業務出張費用を削減する傾向があった。しかし、東日本大震災後に実施した同調査では、本年度の出張予算は「現状維持」としたのが56%、「増加する」が26%で、震災にもかかわらず、業務出張に対して積極的な姿勢を示している。来年度の出張予算になると、「現状維持」は54%、「増加する」が27%で、増加傾向にあることが見てとれる。
日本の出張予算のうち、大きな割合を占めるのが鉄道と航空券で、6割となっている。特に鉄道は28%で、ドイツやフランス、スペインなど高速鉄道網が整備された国と比較しても、10%から15%高い結果となった。国内出張での鉄道の重要性がうかがえ、それが日本の業務出張の特徴だといえる。
▽投資よりもコストの考え方が主流
出張の目的だが、最も多かったのは「既存顧客の維持」、次いで「新規顧客の獲得」となっている。年間の出張予算が5000万円以上の企業の場合、「社内間のミーティング」も、目的に入っている。多くの企業が、出張を、自社のビジネス成長に直結するものと捉えているようだ。
しかし、出張費の捉え方として「コスト」と考えるのが60%で、ビジネス成長における「投資」ととらえているのは22%しかない。同社では、日本の企業の多くが、ビジネス投資項目として業務出張を運用する術を持っていない、と指摘する。
例えば、運用管理方法でも、約87%が、社内に出張規定があるものの、その範囲が限定的であるという。80%以上の企業が限られた経費項目の制限としており、出張精算のプロセスなど出張費全体を規定していない。
▽業務出張における予約手段と決め手
業務出張時の予約手段だが、約80%以上が旅行会社を通して出張予約をしている。そのうち60%以上が複数の旅行会社を利用しており、58%が地元の旅行会社だという。
旅行会社を選ぶポイントだが、「長年のお付き合い」が38%、「価格」が35%。ただし、評価基準としては「サービスの質」が76%で「コスト削減能力」は59%となっている。このことから、同社は企業の評価基準が消費者の選択基準に似ていると指摘。旅行会社には予約や発券業務などの役割を期待し、付加価値の高いビジネス・ソリューションの提供を評価する企業はまだ少ないとして、BTMが参入する可能性を示唆する。
一方、直接予約をする企業も多く、レンタカーは61%、鉄道は41%、ホテルは40%が、各サプライヤーのサイトから予約している。これは、他国と比較しても大変高い数値だという。これについて同社は、国内線や鉄道の場合には各サプライヤーの独自システムを利用しなければならないなど、日本特有の理由によるとしている。