観光復興国際シンポジウム、特別メッセージ採択
世界観光機関(UNWTO)と観光庁、外務省は10月5日、仙台で「東日本大震災・観光復興国際シンポジウム」を開催し、風評被害の払拭と需要回復、アジア太平洋地域内外における国際観光の発展の重要性を訴える特別メッセージを採択した。シンポジウムには、UNWTOと世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)、被災3県を含む東北6県、観光庁などが参加。震災を受けた観光分野での復興をテーマに、被災地などの現状や復興に向けた今後の取組についてプレゼンテーションと議論をおこなった。
シンポジウムは、UNWTOから事務局長のタレブ・リファイ氏、WTTCからCEOのデービッド・スコーシル氏と、観光分野に関わる国連機関と国際業界団体のトップが来日して参加。海外から見た日本の復興状況や今後の課題などについて指摘しつつ、日本の復興への協力についてもコメントがあったという。
また、東北各県が直接的、間接的に大きな影響を受けた一方、東北地方の観光地は、太平洋沿岸の一部を除いて宿泊、交通の施設を含めて旅行者の受け入れにまったく支障のないレベルまで着実に回復し、各自治体が風評被害の払拭などに懸命に取り組んでいることが報告された。このほか、UNWTOとWTTCなどから過去の自然災害における経験をもとに観光復興についてのアドバイスが与えられた一方、東北地方の観光関係者が現在学んでいる経験や知恵が世界中の国々にとって極めて貴重であることも認識されたという。
特別メッセージでは、こうした議論などをもとにUNWTO、WTTC、日本政府、東北地方の各自治体が「被災地をはじめ東北地方の観光復興に関する正確な情報や知識を今後とも世界と共有することを通じて、風評被害の1日も早い払拭をはかり、東北地方及び日本の旅行者の回復・増加、さらにはアジア太平洋地域内外における国際観光のさらなる発展をはかることが重要であるとの結論にいたった」と強調。その上で、UNWTOは10月8日から14日まで韓国で開催される第19回UNWTO総会の場で、シンポジウムと特別メッセージについて言及すると記した。
なお、リファイ氏は10月4日には野田佳彦総理大臣を表敬訪問。野田総理からは東日本大震災へのUNWTOの支援に感謝した上で、観光立国の推進や訪日外国人増加に向けた情報発信の強化に意欲を表明。これに対してリファイ氏は、UNWTOとしてWTTCとも協力して観光産業の復興に向けたサポートを継続するとともに、訪日外国人観光客増加のために協力する用意がある旨を伝えたという。