アクセスランキング、1位は「崖っぷち」-JATA旅博が開幕
[総評] 今週のアクセスランキングは、日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏がJATA国際観光フォーラム・旅博2011の基調講演に登壇した際の記事が1位になりました。「崖っぷち」という言葉を使って旅行業の現状に危機感を示し、旅行業の原点である「旅行のプロ」の育成に本格的に取り組むべきだとする講演は、金井氏の気持ちの込められた語り口もあって、深く心に響きました。
「何を今さら」とったご意見もあるようですが、金井氏も旅行会社の対応の遅れを認め、さらに人材育成が経営上取り組みにくい課題と認識した上での主張であり、さらにいえば何かを始めなければいつまでたっても「今さら」ですし、JATAの会長がああいった場で自らの言葉で話されたこと自体が意義深かったのではないかと思います。
一方で、基調講演の前に開催されたシンポジウムは残念でした。「アウトバウンドの復興に向けて~日本旅行業界の決意~」と題し、ジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社というアウトバウンド三傑の経営者が登壇して議論を進めることになっており、否が応でも期待が高まっていたのですが、突っ込んだ話はなかなか出てこず、結局、不完全燃焼のまま終わってしまいました。
個人的には、的はずれな質問を繰り返し、何度も自分の話を挟み込んで貴重な時間を奪ったモデレーターの責任が大きかったと思いますが、その方自身が旅行業の門外漢であることを考えると、そもそも人選にミスがあったように感じてしまいました。なぜ業界の事情に詳しく、業界の未来をともに考察しようとする人を選ばなかったのか、せっかくの機会が本当にもったいなく思います。「崖っぷち」であればこそ、真剣に議論を突き詰め、一つでも明日へのヒントを見出す努力をすべきだったのではないでしょうか。
さて、あまりの落胆からネガティブな書き方をしてしまいましたが、9月30日に海外旅行業界にとっては国内最大のイベントである旅博が開幕しました。今年は「旅行博」から名前が変わって初の開催ですが、144の国・地域が過去最大となる986コマのブースを出展しているといい、30日も多くの業界関係者が来場していました。明日はどのエリア、どのブースが一番賑わうか、多少でも需要や興味を推し量ることができますし、今からとても楽しみです。
会場内を見て回った感想としては、今年の特徴は国内のブースの存在感でしょう。5月末の旅フェアが中止となったことで移ってきた自治体もあるとのことで数多くのブースが並んでおり、ゆるキャラが歩き回っていたり甲冑が飾られていたりと、一瞬別のイベントに迷い込んだような気分になるほどでした。また、食べ物のブースが一箇所に集まっているのも特徴で、世界各国の料理をしっかり見比べてから選べるのは便利です。
今回の旅博のテーマは「日本を元気に、旅で元気に。」です。トラベルビジョンは消費者の方にも多く読んでいただいておりますが、10月1日と2日には音楽やダンスなど世界中の文化を体験できるステージも40回近く予定されていますし、各ブースで抽選会などのイベントも開かれます。多くの方が会場を訪れ、海外と国内それぞれの旅行情報に触れ、体験をし、実際に現地を訪れるきっかけになってほしいと心より願っています。
なお、会場内で飲食やショッピングをされる場合は、オフィシャルスポンサーのJCBがブースで配布している「JCBショッピング&ダイニングパスポート旅博2011」をもらうことをお勧めします。提示すると、飲食代金10%割引など優待を利用できるようになります。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年9月第5週:9月25日0時~9月30日18時)
第1位
◆旅行業は「崖っぷち」-JATA金井会長、危機感示し人材育成訴え(11/09/29)
第2位
◆チャイナエアライン、スカイチーム加盟、新ロゴも発表(11/09/28)
第3位
◆フィリピン航空、ストライキでマニラ発欠航、収拾にはメドか(11/09/27)
◆フィリピン航空、旅客便の運航再開、28日は欠航102便(11/09/28)
第4位
◆夏の海外旅行「回復」が5割、TSR調査-LCC取り扱いには温度差(11/09/26)
第5位
◆ユナイテッド航空、新マイレージプログラム決定、新特典やサービスも(11/09/28)
第6位
◆KNTが「萌え旅」、美少女育成ゲームで地域活性化ツアー(11/09/26)
第7位
◆スペシャリスト・インタビュー<DS>:エアニュージーランドトラベルサービス 渡辺さん(11/09/26)
第8位
◆東電、観光業の賠償20%減-JATAやANTA支部、請求に向け説明会も(11/09/25)
第9位
◆現地レポート:ベトナム、開発進む中部、世界遺産とビーチリゾートを魅力に(11/09/28)
第10位
◆日豪で航空交渉、オープンスカイなど協議へ-羽田も可能性(11/09/26)