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パシフィックリゾート、ハワイ事業に特化へ-滞在型FITを提案

  • 2011年8月25日

パシフィックリゾート取締役社長 島田恭輔氏  アストン・ホテルズ&リゾーツやポリネシアン・カルチュアル・センターなどの日本地区販売総代理店(GSA)を務めるパシフィックリゾートは2011年度からハワイ事業に特化する。同社取締役社長の島田恭輔氏は、「日本の旅行市場が成長から成熟に変化しており今後大幅な伸びは期待できない」と指摘。「そうした中で、豊かな自然、穏やかな気候、日系人が多いといった特徴があるハワイはリピーターを育てる数少ないデスティネーション」であることから、リピーター層を取り込むねらいだ。団体旅行やパッケージツアーがメインだった時代から滞在型の旅行を提案してきたコンサルティング能力と、26年間続けてきたアストンのGSAとしての信頼性を強みに販売拡大をはかる。

 震災後のアストンの予約状況を見ると、3月、4月、5月はそれぞれ前年比約10%減少したが、6月、7月、8月はそれぞれ約5%増で推移。「全体的なトレンドとして、団体旅行からパッケージツアー、そしてFITへと旅行形態が変化している中でFITの層は旅行をしているのでは」と分析する。とりわけ、ロングステイが増えており平均で6.5泊しているという。東日本大震災により、「大切な人と長く一緒にいたい」、「お金を貯めるよりもつかいたい」というように人々の意識が変化してきていることから、こうしたFITのロングステイが今後も伸びると見込んでおり、震災による消費者意識の変化も事業転換の理由に挙げた。

 また、同社取締役営業本部長の小金昇三氏は、「ハワイはまだまだ未開拓な部分が多くビジネスチャンスがある」と話す。例えば、日本からの航空ネットワークの課題もあり、ワイキキがメインの商品が多い中、離島へ誘導することで新たなハワイ旅行の提案ができリピーター化へつながるとみている。アストンはオアフ島を含め、マウイ島、ハワイ島、カウアイ島に24軒のコンドミニアムとホテルを展開していることから、離島でのコンドミニアムステイを提案することで「滞在型旅行の楽しみ方を伝えたい」という。さらに、離島であればレンタカーなどの“足”の確保も必要とのことから、同社がGSAを務めるアラモレンタカーも活用し、素材を組み合わせて提案する考えだ。

 こうしたFIT層に向けた販売戦略の中で、メインターゲットになるのは、「震災以降、これまでは貯蓄し投資につかっていたお金を消費しようという傾向に変わってきている」リタイヤした団塊世代だ。こうした層の3世代旅行が大きく伸びてきており、家族と長く一緒に過ごしたいといった需要に対し、ハワイでのコンドミニアム滞在が合致することから、団塊世代が目にするメディアへの露出やSNSを活用してプロモーションしていく。このほか、最近では業務渡航を取り扱う第3種の旅行会社から、40代から50代のビジネスマンの家族旅行手配について問い合わせが多いという。島田氏は、「潜在需要であり、旅行会社にとって新たな販売につながるのでは」と述べた。

 なお、シーボーン・クルーズ・ラインなどを手掛けたクルーズ事業と中国・アジア事業の取り扱いは終了する。もともと、売上の80%がハワイ事業だったため、大きな影響はないとみている。また、同社では、ハワイ事業に特化することで2011年度は取扱人数、取扱高ともに10%増をめざす。島田氏によると、「震災以降、予想していたよりも減少幅が少なかった」うえ、「春休みキャンセルした人が夏休みに予約するなどし、9月も約20%増で推移している」ことから、達成に向けて意欲を示した。