東北復興へ支援 日観振、初総会は仙台で
日本観光協会(日観協)と日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)が4月1日に統合し発足した新組織、日本観光振興協会(日観振、西田厚聰会長=東芝取締役会長)は6月9日、仙台市のホテルメトロポリタンで2011年度総会を開いた。東日本大震災に伴う観光支援など11年度事業計画を承認した。
すでに日観振では東北復興支援の集い(4月21日、東京)、世界ツーリズムサミットでの訪日アピール(5月11日、米国ラスベガス)、震災後の観光復活に向けた要望と提言(5月25日)などに取り組んできたが、国内旅行振興キャンペーンを継続して実施する。
国や地方自治体と連携し夏期の旅行促進キャンペーンを展開するほか、6月13日にはキャンペーンサイト「がんばろう日本」を開設し、被災地の観光やイベント情報、東北支援旅行商品情報の掲載、東北モニターツアーの募集を始めている。
西田会長はあいさつで「震災で観光は大きな打撃を受けましたが、新幹線も復旧し、受入の問題はほとんど解決しています。しかし風評や自粛ムードは続いています。放射能についての誤解や風評で外国人旅行者が影響を受けています。日本の状況を正しく理解してもらうよう、粘り強く伝えることが大事です」と話した。
日観振では震災復興支援のほか、前身の日観協とTIJの事業も継承し、(1)観光イノベーションの促進(2)小中学校を対象とした観光教育=旅育(3)観光地域づくり支援-なども進める。
総会後、東北観光の復興を考えるパネルディスカッションが行われた。
佐藤義正・岩手県観光協会理事長(盛岡市つなぎ温泉・南部湯守の宿大観)は「震災以前から国内旅行は長期的に停滞し、足腰は弱まっていました。震災を日本の旅行スタイルを変えるきっかけにしたい。外国人、若者に日本文化を体験できる旅館を売り込みたい。旅館を宿泊という手段ではなく、旅行の目的に変える。泊食分離への取り組みでロングステイの提案にも取り組みたい。今取り組まなければ残れない」と決意を示した。
また、見並陽一・JR東日本常務は「輸送の足を持っていることの責務と強さを改めて感じています。沿岸地域で復旧のメドの立たない路線もありますが、東北新幹線の全線復旧という『走らせる』から、次は利用してもらうことにも取り組みたい。東北の夏祭りへの送客は責務だと思っています」などと話した。
情報提供:トラベルニュース社