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現地レポート:トルコでバラ摘み体験、SIT向けに

  • 2011年6月23日

トルコ・アンタルヤ地方-女性を魅了するダマスクローズの魅力

標高の低いバラ農園は気温が高いので開花が進んでいた

 トルコは、世界四大バラ産地のひとつ。ブルガリア、フランス、モロッコとともに、世界中の女性たちを魅了してやまない香りの原料となるダマスクローズを生産し続けている。数百種類あるバラの品種のうち、芳香成分を採取できる品種はたったの2種類のみ。そのひとつがダマスクローズだ。その甘い香りは、香水や化粧品の原料として、スイーツや紅茶などの香り付けとして世界中で、特に女性たちに愛されている。ダマスクローズは、トルコでは毎年5月下旬から7月上旬の間に収穫期を迎える。女性が憧れるバラの生産地は、観光素材としての魅力は十分だ。トルコの玄関口イスタンブールと、アンタルヤ地方のバラ農園を取材した。

ダマスクローズの収穫を追って
季節によって楽しみ方も多彩

イスタンブール旧市街にあるスルタンアフメット・ジャミイ。通称ブルーモスク

 トルコの玄関口となるイスタンブールは、アジア大陸とヨーロッパ大陸がボスポラス海峡を隔てて接する場所にある。人口1000万人あまりの、トルコ最大の都市だ。周囲の50ヶ国から4時間以内のフライトで運航できる地の利から、MICEの需要も高い。

ツアー参加者たちが摘んだ花びらは大きな袋に入れられて集積所へ

 収穫期を迎えているダマスクローズを追って、イスタンブールからバラ摘みツアーに同行した。目的地は、アンタルヤ地方のブルドゥルという町の近くのバラ農園だ。ダマスクローズ観光の基点となっているのは、収穫祭もおこなわれるウスパルタ。バラ農園に近いブルドゥルは小さな町なので、ウスパルタのホテルに宿泊するのがいいだろう。町にはバラのモニュメントがあり、レストランや土産物店も充実している。

 イスタンブールからウスパルタへの行き方は3種類。陸路か、ウスパルタへの直行便を利用するか、地中海沿岸のアンタルヤまで航空機で向かい、そこから車で約2時間を北上するというもの。ウスパルタからバラ農園があるブルドゥルまでは約1時間だ。イスタンブールから陸路で移動するなら、途中、パムッカレに立ち寄るという組み合わせもできる。アンタルヤ経由なら、地中海に面する風光明媚な港町の旧市街観光もできる。空路の場合、インタンブールからアンタルヤまではトルコ航空(TK)が運航しているが、ウスパルタへはトルコ国内を運航するボラ・ジェットのフライトとなる。


バラ摘み体験は複数の農園にアポイント

この農園で収穫されたダマスクローズの花びらは蒸留されてフランスへと輸出される バラ農園オーナーとその家族。バラの収穫期以外は市場で洋服などを売っている農家では通常のキッチンのほかに、このような窯もある

 日程の設定にもっとも神経を使わなくてはならないのはバラの開花。例年、収穫期は5月下旬から7月上旬なのだが、温度の変化で開花が早まったり遅くなったりするからだ。今回はなかなか気温が上がらず、予定していた農園の開花がかつてないほど遅れていた。2日間のバラ摘みの日程のうち、初日はほとんど花が咲いていなかったので、急遽、標高の低い農園を訪問することになった。バラ摘み体験や、バラ農園観光、蒸留作業見学を確実に催行するためには、開花シーズンといわれる季節の始めと終わりは要注意。標高の違う2軒以上の農園にアポイントを入れておくことが最善策だ。

 バラ摘み作業は、通常は日の出とともに早朝から始まる。バラは、つぼみが開いた直後がもっとも香りが強いからだ。日が高くなると水分とともに芳香成分が蒸発してしまうし、雨が降っても香りが洗い流されてしまうという。とてもデリケートで貴重な成分なのだ。今回のバラ摘みツアーの参加者は全員が女性だった。バラの芳香成分には、殺菌作用や女性ホルモンのバランスを整える働きがあると言われている。夢中で花を摘み、甘い香りに包まれて喜々とする参加者たちの姿が印象的だった。


トルコの農家暮らし体験とバラの蒸留見学

トルコの女性からスカーフと、シャルワールというゆったりしたパンツを借りて調理を手伝うツアー参加者ブドウの葉で具材を包んでトマトスープで煮込んだギョゼ・サルマ

 早朝のバラ摘み体験の後、農家では朝食を用意してくれた。大きな農園をもつ農家には、写真のような薪を使う窯があったりするので、手作りのトルコ家庭料理がすこぶる美味しい。調理を手伝ったり、農家の子供たちと遊んだり、さらなる農家体験となった。

 食事のメニューは、にんにく、タマネギ、ニラなどのみじん切りと挽き割り小麦などをブドウの葉で包み、トマトスープで煮込んで、最後にヨーグルトにつけながら食べるギョゼ・サルマや、チーズやパセリなどを使ったクレープに似たギョズレメなど。パンには自家製のバラの花びらのジャムが添えられていた。

 今回は充分な花びらが収穫できなかったので取材できなかったが、朝食後には巨大な蒸留釜に花びらを入れて蒸留作業が始まる。釜の上方から蒸気を集めて容器に溜めると、ローズウォーターの上にうっすらとローズオイルが浮かぶ。ローズオイル1リットルのために4トンの花びらが必要だという、とても貴重なものだ。トルコではそれらを使った石けんや化粧品、ローズウォーターそのものも安価で売られているので、土産物にもいい。


古代都市の遺跡観光と週末の市場散策

ブルドゥルの市場。卵を売りながらおしゃべりをしている女性たち

 ブルドゥルにはダマスクローズ以外にも見どころがある。バラ摘み体験と農家体験を終えても、時間は昼過ぎといったところ。まだ半日残っている。ブルドゥルウ郊外には古代遺跡があるし、日程が週末にかかれば青空市場を散策することもできる。

バラの花びらを蒸留する大釜。この日は花びらの量が少なすぎて稼働しなかった

 町外れにあるサガラッソス遺跡は、1995年に発見された古代遺跡だ。紀元前から人が住み始め、ローマ帝国のアレキサンダー大王の時代に首都として栄えた。当時は、約80万人の人々が暮らしていたという広大な遺跡だ。大劇場、図書館、ハマム、そして隣の山から水を引いたという水道施設など、その規模の大きさと都市機能には驚かされる。

サガラッソス遺跡にあるアントニン神殿。今も変わらずに水が流れている

 市場は毎週金曜に開かれる。イスタンブールのバザールとは違い、観光客はほとんど見かけない。売られている商品も、食料品、生地、スカーフ、洋服など、庶民の生活に必要なものばかり。中央の大きな屋台ではチーズやオリーブが売られていた。バラ摘み、農家体験、そして古代遺跡や市場散策。ウスパルタを基点としたブルドゥルは、体験型ツアーとして女性にアピールできるデスティネーションだ。




ビジネスクラス並みのサービスで差別化する
トルコ航空(TK)のコンフォートクラス

 TKが、2011年の夏期スケジュールから成田/イスタンブール線に導入した最新鋭機のボーイングB777-300ER型機の「コンフォートクラス」。ビジネスクラス28席と、エコノミークラス246席の間のミドルクラスとなる63席だ。この機材にファーストクラスはない。ミドルクラスというと、プレミアムエコノミーと呼ばれることが多いが、TKのコンフォートクラスはほとんどビジネスクラスという印象だ。

 シートピッチは116センチメートルのゆとりある設計で、電源はもちろん、USBとイーサネットケーブルの接続口もある。iPodを繋いで音楽を楽しめるほか、8月からはiPodに保存された映画をシートのモニターで観賞できるようになる予定だ。さらに、2011年末からはインターネットや衛星電話への接続も予定している。

 また、現在はビジネスクラスのみの「フライングシェフ」サービスを、8月からはコンフォートクラスに拡大。シェフが乗務して料理の説明や盛りつけをする。現時点でも食事は前菜、メインプレート、そして食後のデザートとチーズ、フルーツの3回に分けてサービスされ、ビジネスクラス並みの内容だ。アルコール類も無料となっている。

 新就航キャンペーンの「Let’s Try Comfort」では、エコノミークラスの公示運賃利用客を対象に、成田空港のチェックインカウンターで先着10名が1万5000円、復路のイスタンブールでは200ユーロでコンフォートクラスにアップグレードしている。このキャンペーンは好評のため期限を5月末から6月末までに延長。さらに翌7月から2012年3月末までは、成田発、イスタンブール発ともに200ユーロで同様のアップグレードキャンペーンを続けることにした。

 また、スポンサーをしているサッカーチームを使ったピーアールキャンペーンもスタート。エンドユーザーに積極的にアピールしている。

取材協力:トルコ航空(TK)
取材:たかせ藍沙