JATA金井会長、需要喚起に「あらゆる工夫」、観光による復興に改めて意欲
日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏は6月16日、総会後の意見交換会で挨拶に立ち、「今こそ、潜在的に十分存在する旅行需要、旅行への願望というものを外に引き出して実際に旅行していただくために、ありとあらゆる知恵と工夫を絞るべき」と訴えた。現在の環境における課題が「日本の実情の正確な発信」と「風評被害と過度の自粛からの脱却」であるとし、一般消費者が良かれと思って倹約や節約に取り組み、経済が停滞する悪循環に懸念を示したもの。
金井氏は、会場に外国政府の大使館や観光局の関係者も多く集まる中、大震災から3ヶ月が経過して日本が「復興の歩みを着々と進めはじめた」と強調。そして、旅行需要も、国内旅行と訪日旅行は震災の影響を拭えていないものの、「海外旅行はかなり順調に回復しはじめている」とし、「観光が日本の復興の牽引車になるという気概を持って、ここにいる関係者の皆様と力を合わせて、勇気を持って取り組んでいきたい」と訴えた。
また、意見交換会では国土交通大臣政務官の小泉俊明氏も挨拶した。小泉氏は、「日本を元気にしていくためには、総額約25兆円という最大のサービス産業である観光業を大きく復活、発展をしていかなければならないと確信している」と言及。その上で、観光にとって重要となる陸・海・空のインフラ整備や、福島原発の根本的解決に向けて、全力で取り組む方針を強調。さらに、観光業の復活に向けて、「官民一体となった様々なキャンペーン、イベントなどを積極的におこなうことで、観光立国である日本を皆様にもう一度ご認識いただき、元気な日本を作っていきたい」と語った。
さらに、乾杯の音頭をとった在日外国観光局協議会(ANTOR-Japan)会長のバレンチノ・カバンサグ氏は、「多くの日本人が海外を訪れれば、世界は日本が平常であると理解できる。日本に対する不安も和らぐ」と述べ、JATAが担う海外旅行促進の役割を高く評価。その上で、「観光業は経済を活性化するための欠かすべからざる原動力であり、人やサービスの流れは雇用や投資を生み出す。だからこそ、観光業は今困難に立ち向かい、日本の復興を牽引しなければならない」と語りかけた。