ANTA二階会長、嘆くより立ち直りへの努力を−国内観光活性化フォーラム

  • 2011年4月27日
 全国旅行業協会(ANTA)は4月26日、「第8回国内観光活性化フォーラム」を富山県で開催した。全国のANTA会員約1050名に一般の観光客を含めた約1200名が参加し、ANTAが推進する着地型旅行「地旅」の紹介のほか、富山県および北陸地域の観光の魅力を紹介するイベントを実施した。

 ANTA会長の二階俊博氏は主催者挨拶で、「震災で落ち込んだなか今日のフォーラムを迎えたが、沈んでばかりはいられない。みんなで立ち上がろう」と参加者に呼びかけ、「その勢いで東北を応援、励ますことができるようにしていこうというのが、今回の開催趣旨」と説明。「観光客が来なくなったことを風評被害だと言うのは簡単だが、それを言い続けることで何の効果があるか」と指摘し、「それよりも、観光地が立ち直ったというアナウンスが必要。観光業界が手を携えて、みんなでがんばりあっていこう」と、力強く語りかけた。

 また、フォーラムの地元実行委員会委員長の伏江努氏は、「内需拡大の鍵は観光の復活にかかっている。今こそ地域に根ざす旅行会社の社会的使命、行動を起こすとき」と述べ、「地旅とは地域の人とつくり、地域の人が潤い、訪れる人も元気になる旅。地域の観光から日本の元気に向けて行政関係者とANTA会員の英知を結集し、魅力ある地旅ブランドの拡大・流通促進をしていかなければならない」と開会挨拶をした。

 このほかフォーラムでは、溝畑氏が今後の取り組みについて講演したほか、ANTAが震災の影響や対応について説明。被災地の7支部の代表が登壇し、各地の状況と送客への協力を訴えた。ANTA会員への調査によると、震災の影響によるキャンセルは全国で約9万3000件、約104万人で、取扱金額では約235億円に及んだという。

 また、地旅に関しては3件の事例を着地側と発地側がそれぞれ発表。天神祭りの地旅の送客側からは、「伝統文化を後世に伝えるためには当事者はもちろん、見守る観客も重要な要素」とした上で、「1000年以上の歴史のある天神祭りは戦乱などで何度も中止の憂き目にあい、復活してきたと聞く。今回の震災でも地域の伝統文化が復活する際、地旅は力強い後押しとなるのでは」との意見が述べられた。

 なお、今回のフォーラムは「地方の観光から日本を元気に」を合言葉に開催しており、ANTAとして「被災した地元の会員を助け、被災地への送客を積極的に行うなど、地域の復興に最大限の協力をする」「それぞれの地域から魅力ある地旅を発信し、旅の力で元気な日本にするために全力を尽くす」とする「富山宣言」を宣誓した。


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