地震、状況把握が急務、訪日外客へのサポートも−キャンセル相談も多く

  • 2011年3月15日
 観光庁は現在、東北地方太平洋沖地震による観光への影響を取りまとめている。それによると、3月15日09時45分現在で、震災地域を訪れていたと思われる日本人旅行者数は約4100人。そのうち安否確認済みであるのは約1600人で、約2500人が安否確認中という。この数値は日本旅行業協会(JATA)の聞き取り調査によるもので、主要旅行業者数社のみの数値。12日から聞き取りを始めているものの、各社が地震対応に追われており回答が得にくい状況といい、現地訪問中の旅行者数はさらに多いものと見られる。

 こうしたなか、観光庁では、まずは状況把握を第一に対応を進める一方、訪日外国人旅行者への情報提供にも力を入れる。日本政府観光局(JNTO)のツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)で、24時間の電話対応を開始したほか、CNNなど海外メディアへの広報に依頼し、日本政府が緊急の連絡体制を構築していることの発信を依頼している。また、電話通訳を事業とするブリックスから、緊急災害通話サービスの無償支援の申し入れがあったことから、被災地で訪日外国人旅行者との会話が必要な場合などで利用できるよう、地方自治体への周知を進めている。

 このほか、通訳案内士団体が海外からの救助隊などの業務支援や空港などにおける情報提供支援のため、通訳ボランティアの派遣について協力する方向で検討しているところ。さらに、東京電力の計画停電について、宿泊関係団体に対して協力と利用者への周知を要請した。

 全国旅行業協会(ANTA)でも、現状把握に向けた対応をはじめているが、該当地域の会員会社との連絡が取りにくい状況。一方、ANTAには会員会社からキャンセルについての問い合わせが相次いでいる。震災の当該エリア以外への旅行でも、修学旅行をはじめキャンセル希望が出はじめており、震災地から離れたエリアからの旅行でも、旅行をする気分ではないことを理由にキャンセル希望があるようだ。自粛の傾向は消費者だけでなく旅行会社にも表れており、ANTAには旅行会社からも催行するパッケージツアーを自粛したいとの相談があるという。

 なお、JATAでは、会員からの問い合わせはほとんどなく、消費者からの問い合わせはほとんどが取消料についてという。


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