クオニイ、ガリバーズ・トラベルを買収へ−オンラインなど補完性評価

  • 2011年3月8日
 クオニイトラベル(クオニイ)とトラベルポートは3月7日、トラベルポートがガリバーズ・トラベル・アソシエイツ(GTA)を総額7億2000万米ドル(約590億円)でクオニイに売却することで合意したと発表した。クオニイによると、オンラインでのFIT向け旅行素材流通などGTAの事業構造が、クオニイの成長戦略に合致。トラベルポートは本業に注力するためという。

 GTAは1975年にロンドンで設立され、GTAやオクトパストラベルなど複数のブランドで、ホテルや送迎などの地上手配を世界展開。ホテルについては、約3万5000軒のホテルを130ヶ国以上に29ヶ国語で提供。2010年12月期(2010年1月1日〜12月31日)のGTA経由のホテル予約数は約1200万泊で、その他を含めて総流通額が前年比18%増となる18億8700万米ドル(約1550億円)、総流通額が10%増となる2億9400万米ドル(約240億円)を計上している。

 クオニイでは、GTAが特にFITを得意とし、オンラインでの流通を強みとする点を評価した上で、DMC(Destination Management Company)事業に強いクオニイと補完的な関係にあると分析。また、団体旅行などについては同等程度の規模と見ており、その他の分野を含めて全体的な規模の拡大によるシナジー効果が期待できるとした。さらにクオニイでは、GTAが世界26都市に拠点を構えて約2400名を雇用しており、欧州だけでなくアジア太平洋地域や中東、北米でも存在感を持つ点を評価したといい、地理的にも補完関係にあるとした。

 このほか、業務や営業、オペレーションの効率化、事務作業の統合、規模の拡大による仕入力の向上、GTAのイールドマネジメントの導入などを見込んでおり、2014年までに2500万スイスフラン(約22億円)の統合効果を予測。一方で、組織の再編やIT投資、マネジメントコストなどで2013年までに2000万スイスフラン(約18億円)のコスト増が見込まれるという。

 なお、買収は株主総会の承認などが条件であるものの、5月には完了する予定だ。