エジプト、国内情勢の回復強調−旅行業界と連携強化、渡航規制緩和めざす

  • 2011年3月3日
 エジプト大使館は3月2日、メディア向け説明会を開催し、エジプト観光の現状と回復に向けた今後の方針を説明した。エジプト特命全権大使のワリード・アブデルナーセル氏は「主要な観光地やインフラに被害はなく、日本人を含む外国人への暴力行為も発生していない」と述べ、情勢の回復を強調した。

 エジプト大使館エジプト学・観光局によると、ギザのピラミッドやエジプト考古学博物館など封鎖されていた観光地は現在復旧しており、国内の美術館、博物館も通常通り開館している。また、ルクソール、アスワン、アブシンベル、シャルム・エル・シェイク、ハルガダといった観光地は政情悪化の影響を受けていないという。

 こうしたなか、同局日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランド観光参事官のイブラヒム・カリール氏によると、ヨーロッパを中心に世界各地でエジプトへの渡航規制が緩和傾向にあり、多くの国でシナイ半島のシャルム・エル・シェイクや紅海、アスワンを含む南エリアなどの渡航制限も解除された。ドイツやイタリア、フランス、イギリスなどからは、観光地へのチャーター便も運航しており、カイロへの観光客も戻りつつあるという。

 一方、日本では、2月28日付でシナイ半島(紅海、スエズ湾、アカバ湾に面した沿岸地域を除く)以外の地域の渡航情報が「渡航の是非を検討して下さい」に引き下げられているが、大手旅行会社のパッケージツアー催行再開の目安となるのは「十分注意してください」。アブデルナーセル氏は旅行業関係各社との連携の成果としつつ、引き続き日本旅行業協会(JATA)や日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)、在日外国観光局協議会(ANTOR)などの各機関や、旅行会社、ツアーオペレーター等と連携し、渡航情報のさらなる引き下げを関係各所に働きかけていく考えを示した。

 カリール氏によると、2010年の日本人観光客数は12万6000人強。日本はエジプトにとって非常に大きな市場の一つであることから、エジプトへの旅行需要回復のためにキャンペーンを実施する考えを示した。JATAやエジプト航空(MS)などの協力で現地視察ツアーを実施するほか、東京、大阪、名古屋、福岡でセミナーやワークショップの開催も検討しているという。また、新聞や各種メディアを活用した消費者向けキャンペーンも展開する考えだ。