現地レポート:ブラジル、知られざる純白の大砂丘
レンソイス・マラニェンセス国立公園の純白の大砂丘で
ブラジルの知られざる魅力を再発見!
ブラジルは、2014年のサッカーワールドカップ、2016年のオリンピックの開催国。今後ますます注目されていくデスティネーションだ。そんなブラジルが力を注いでプロモーションしているのが、レンソイス・マラニェンセス国立公園だ。「レンソイス」とは、ポルトガル語でシーツを意味する言葉で、その名の通り、大地を覆うシーツのような純白に輝く大砂丘が延々と続く。そこにあるのは、海に沿って約70キロメートル、幅50キロメートルもの広大な砂丘で、3月から9月頃になると地下水の水位が上がり、砂のへこみに無数の湖が出現する。すると、地平線まで白とブルーの美しいコントラストが続く絶景となるのだ。
地球の裏側への長旅が
秘境への冒険心をかき立てる
日本からブラジルへは直行便がないので、北米かヨーロッパ、中東を経由することになる。今回のプレスツアーで利用したのはデルタ航空(DL)。同社のハブ空港であるアトランタで乗り継ぐルートだ。
成田からアトランタまでは直行便で、往路12時間40分。そこからブラジル南部にあるリオ・デ・ジャネイロの空港まで9時間45分。TAMブラジル航空(JJ)の国内線に乗り換え、ブラジル北部のマラニョン州の州都サン・ルイスへ。到着は夜なのでここで1泊する。翌朝、レンソイス観光の基点となるバヘリーニャスのホテルへ、車で約250キロメートル、約4時間の移動だ。成田を出発してから、トランジットを含めると、実に2日半という長旅なのだ。ホテルにチェックインするときには、はるばるたどり着いたという秘境感をたっぷり味わえる。
絶景と呼ぶにふさわしい
純白に輝く大砂丘
レンソイス・マラニェンセス国立公園には、ふたつの大砂丘がある。大レンソイス(グランデス・レンソイス)と、小レンソイス(ペケーニョス・レンソイス)だ。前者が純白なのに対し、後者はややクリーム色をしている。レンソイスの砂は、主成分である石英が長年にわたる風雨で洗われて白さを増したといわれている。小レンソイスは、不純物が残っている若い砂丘ということなのだ。
レンソイス視察初日、ベースとなる街バヘリーニャスのホテルに到着したのは昼。チェックイン、遅めのランチを済ませ、カメラと水着の用意をしてすぐに出発となった。四輪駆動車に乗り込み、大砂丘へと急ぐ。日が暮れる前に湖で泳ぎ、サンセットを眺めるという。
四輪駆動車は、荷台の部分に3列の座席と屋根が付いている。ホテルから約15分で突き当たる川は小さなフェリーで渡り、ジャングルの中を約40分走る。砂の小径には深いわだちができていて車は弾むように走り、いやがおうにも乗っている全員も車の上で跳ねる。ゆっくり走るとタイヤがスタックするため、ある程度のスピードが必要なのだ。捕まっていないと車から落ちてしまいそうだし、前をよく見ていないと時々木の枝が体をかする。雨季にはわだちに水が溜まって、さらにドライバーのスキルが必要になるという。
さんざん揺られた頃、目の前に真っ白な砂丘が現れる。そこから先は徒歩だ。もっとも近い湖まではさらに30分。砂に足を取られながら砂丘を登り、少し湿った砂底を歩き、またさらさらの砂丘を上る行程。太陽がかなり傾いてきたが、なんとか明るいうちに湖に着いた。すでに白人の観光客数人が泳いでいた。
ひときわ高い砂丘に登ると、延々と続く砂の大地と、ところどころに緑のジャングルが見える。砂漠と緑が隣り合わせている不思議な光景だ。これも地下水のなせる技なのだろう、などと思う間に日没に。白い大砂丘がオレンジに染まり、息をのむほど美しいサンセットとなった。
冒険心をかきたてる遊びのメニュー
レンソイスでは自然を遊び相手に、様々なエクスカーションが用意されている。大砂丘では、湖で泳ぐだけでなく、サンドボードで砂丘を滑り降りたりもできる。少し足を延ばして小レンソイスに行けば、大西洋に面したビーチから続くクリーム色の砂丘と、その周辺の村を訪ねて1日を過ごすこともできるのだ。
砂丘以外の遊びをというのなら、のどかな川下りのツアーも。ボートではなくタイヤチューブに身を任せ、ゆるやかな流れの川にぷかぷか浮かびながらの1時間は、澄んだ水と水面から眺める川沿いの自然の豊かさ、そしてのんびりとした国民性を体験できる格好のツアーだ。
遊覧飛行は、もっともおすすめするエクスカーションのひとつ。とくに、大砂丘に湖が出現する3月から9月頃の景色は素晴らしい。今回の取材では、バヘリーニャスから飛ぶことが出来なかったので、サン・ルイスからセスナをチャーターした。テレビやガイドブックに載っているような白とブルーの世界ではなかったが、その圧倒されるほどのスケールの大きさを、空から見ることで改めて実感できた。
世界遺産の州都サン・ルイス
レンソイスまでの経由地として素通りしてしまうのはもったいない街が、サン・ルイスだ。ブラジルで唯一、フランス人によって造られた旧市街は、1997年にユネスコの世界遺産に登録された。この街は19世紀に一度衰退したが、近年の復興プロジェクトによって蘇った。17世紀当時の姿が復元された建物の中には外壁が美しいタイルで覆われたものも多く、歩いているだけでも楽しむことができる。
見どころとしては、1622年に造られたセー教会、ポルトガル製の手の込んだ職人技が見事なタイル博物館、街の人々の暮らしを垣間見ることができる市場、土産物が並ぶ民芸品館などがある。
サン・ルイス市観光局長のリビヨマール・マカトゥロン氏によると、現在、観光客の受け入れ体制を強化するためのプロジェクトが進行中とのこと。教会や博物館など15ヶ所の観光名所に英語を話せるガイドを配すためのトレーニングをしているほか、2012年までに500人のタクシードライバーを育成する予定だという。もちろん彼らにも英語、フランス語のトレーニングを予定している。
レンソイスを含むパッケージツアーが増加中
南米4ヶ国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)のプロモーションを担うメルコスール観光局によると、メルコスール各国を含むツアー数は、2007年には224件だったが、2010年には346件に増加。ブラジルに関しては、2007年から2010年にかけて54%増となっており、2009年のパンフレット掲載ツアー数は227件、2010年には249件に上っている。
今回取材したレンソイスは、2007年にNHKの「ダーウィンが来た!」「NHKスペシャル」で取り上げられ、2009年にはフジテレビの「世界の絶景100選」の視聴者投票で第2位に選ばれた。レンソイスを含むパッケージツアーの数は、2007年には0件だったものが、2008年には15件、2009年には16件、2010年は28件と増加しているのは、日本での知名度が上がっているからにほかならない。レンソイスは、新しいデスティネーションとして多くの可能性を秘めている。
ブラジルの知られざる魅力を再発見!
ブラジルは、2014年のサッカーワールドカップ、2016年のオリンピックの開催国。今後ますます注目されていくデスティネーションだ。そんなブラジルが力を注いでプロモーションしているのが、レンソイス・マラニェンセス国立公園だ。「レンソイス」とは、ポルトガル語でシーツを意味する言葉で、その名の通り、大地を覆うシーツのような純白に輝く大砂丘が延々と続く。そこにあるのは、海に沿って約70キロメートル、幅50キロメートルもの広大な砂丘で、3月から9月頃になると地下水の水位が上がり、砂のへこみに無数の湖が出現する。すると、地平線まで白とブルーの美しいコントラストが続く絶景となるのだ。
地球の裏側への長旅が
秘境への冒険心をかき立てる
日本からブラジルへは直行便がないので、北米かヨーロッパ、中東を経由することになる。今回のプレスツアーで利用したのはデルタ航空(DL)。同社のハブ空港であるアトランタで乗り継ぐルートだ。
成田からアトランタまでは直行便で、往路12時間40分。そこからブラジル南部にあるリオ・デ・ジャネイロの空港まで9時間45分。TAMブラジル航空(JJ)の国内線に乗り換え、ブラジル北部のマラニョン州の州都サン・ルイスへ。到着は夜なのでここで1泊する。翌朝、レンソイス観光の基点となるバヘリーニャスのホテルへ、車で約250キロメートル、約4時間の移動だ。成田を出発してから、トランジットを含めると、実に2日半という長旅なのだ。ホテルにチェックインするときには、はるばるたどり着いたという秘境感をたっぷり味わえる。
絶景と呼ぶにふさわしい
純白に輝く大砂丘
レンソイス・マラニェンセス国立公園には、ふたつの大砂丘がある。大レンソイス(グランデス・レンソイス)と、小レンソイス(ペケーニョス・レンソイス)だ。前者が純白なのに対し、後者はややクリーム色をしている。レンソイスの砂は、主成分である石英が長年にわたる風雨で洗われて白さを増したといわれている。小レンソイスは、不純物が残っている若い砂丘ということなのだ。
レンソイス視察初日、ベースとなる街バヘリーニャスのホテルに到着したのは昼。チェックイン、遅めのランチを済ませ、カメラと水着の用意をしてすぐに出発となった。四輪駆動車に乗り込み、大砂丘へと急ぐ。日が暮れる前に湖で泳ぎ、サンセットを眺めるという。
四輪駆動車は、荷台の部分に3列の座席と屋根が付いている。ホテルから約15分で突き当たる川は小さなフェリーで渡り、ジャングルの中を約40分走る。砂の小径には深いわだちができていて車は弾むように走り、いやがおうにも乗っている全員も車の上で跳ねる。ゆっくり走るとタイヤがスタックするため、ある程度のスピードが必要なのだ。捕まっていないと車から落ちてしまいそうだし、前をよく見ていないと時々木の枝が体をかする。雨季にはわだちに水が溜まって、さらにドライバーのスキルが必要になるという。
さんざん揺られた頃、目の前に真っ白な砂丘が現れる。そこから先は徒歩だ。もっとも近い湖まではさらに30分。砂に足を取られながら砂丘を登り、少し湿った砂底を歩き、またさらさらの砂丘を上る行程。太陽がかなり傾いてきたが、なんとか明るいうちに湖に着いた。すでに白人の観光客数人が泳いでいた。
ひときわ高い砂丘に登ると、延々と続く砂の大地と、ところどころに緑のジャングルが見える。砂漠と緑が隣り合わせている不思議な光景だ。これも地下水のなせる技なのだろう、などと思う間に日没に。白い大砂丘がオレンジに染まり、息をのむほど美しいサンセットとなった。
冒険心をかきたてる遊びのメニュー
レンソイスでは自然を遊び相手に、様々なエクスカーションが用意されている。大砂丘では、湖で泳ぐだけでなく、サンドボードで砂丘を滑り降りたりもできる。少し足を延ばして小レンソイスに行けば、大西洋に面したビーチから続くクリーム色の砂丘と、その周辺の村を訪ねて1日を過ごすこともできるのだ。
砂丘以外の遊びをというのなら、のどかな川下りのツアーも。ボートではなくタイヤチューブに身を任せ、ゆるやかな流れの川にぷかぷか浮かびながらの1時間は、澄んだ水と水面から眺める川沿いの自然の豊かさ、そしてのんびりとした国民性を体験できる格好のツアーだ。
遊覧飛行は、もっともおすすめするエクスカーションのひとつ。とくに、大砂丘に湖が出現する3月から9月頃の景色は素晴らしい。今回の取材では、バヘリーニャスから飛ぶことが出来なかったので、サン・ルイスからセスナをチャーターした。テレビやガイドブックに載っているような白とブルーの世界ではなかったが、その圧倒されるほどのスケールの大きさを、空から見ることで改めて実感できた。
世界遺産の州都サン・ルイス
レンソイスまでの経由地として素通りしてしまうのはもったいない街が、サン・ルイスだ。ブラジルで唯一、フランス人によって造られた旧市街は、1997年にユネスコの世界遺産に登録された。この街は19世紀に一度衰退したが、近年の復興プロジェクトによって蘇った。17世紀当時の姿が復元された建物の中には外壁が美しいタイルで覆われたものも多く、歩いているだけでも楽しむことができる。
見どころとしては、1622年に造られたセー教会、ポルトガル製の手の込んだ職人技が見事なタイル博物館、街の人々の暮らしを垣間見ることができる市場、土産物が並ぶ民芸品館などがある。
サン・ルイス市観光局長のリビヨマール・マカトゥロン氏によると、現在、観光客の受け入れ体制を強化するためのプロジェクトが進行中とのこと。教会や博物館など15ヶ所の観光名所に英語を話せるガイドを配すためのトレーニングをしているほか、2012年までに500人のタクシードライバーを育成する予定だという。もちろん彼らにも英語、フランス語のトレーニングを予定している。
レンソイスを含むパッケージツアーが増加中
南米4ヶ国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)のプロモーションを担うメルコスール観光局によると、メルコスール各国を含むツアー数は、2007年には224件だったが、2010年には346件に増加。ブラジルに関しては、2007年から2010年にかけて54%増となっており、2009年のパンフレット掲載ツアー数は227件、2010年には249件に上っている。
今回取材したレンソイスは、2007年にNHKの「ダーウィンが来た!」「NHKスペシャル」で取り上げられ、2009年にはフジテレビの「世界の絶景100選」の視聴者投票で第2位に選ばれた。レンソイスを含むパッケージツアーの数は、2007年には0件だったものが、2008年には15件、2009年には16件、2010年は28件と増加しているのは、日本での知名度が上がっているからにほかならない。レンソイスは、新しいデスティネーションとして多くの可能性を秘めている。
取材協力:ブラジル観光公社、メルコスール観光局、デルタ航空
取材・写真:たかせ藍沙