旅行会社は地域と旅行者のギャップマネージメントを−JATA経営フォーラム

  • 2011年2月18日
 日本旅行業協会(JATA)が2月15日に開催した、JATA経営フォーラム2011の分科会「地域活性化で旅行業もいきいき!〜地域活性化事業の現状と今後のビジネスモデル」と題するパネルディスカッションで、旅行業と地域づくりの関わりについて議論された。パネリストには、ジェイティービー法人営業部長・地域交流ビジネス推進室長の加藤誠氏、リクルート旅行カンパニーじゃらんリサーチセンター長の沢登次彦氏、京都嵯峨芸術大学芸術学部観光デザイン学科教授の真板昭夫氏が登壇した。

 議論の前半では沢登氏が、地域内の魅力を知るためのインターナルマーケティングや、「ご当地愛」の形成が重要と指摘。真板氏も「地域の人自身が価値を認め、誇りを高めることが大事」とした上で、地域の「宝」を見つけ、磨き、広く伝える過程での旅行業との連携を強調した。さらに、旅行会社には地域と旅行者ニーズのギャップマネージメントをする役割があるとし、旅行業者や地域コーディネーターが商品を評価しあうBtoBのマーケットづくりを提案した。

 加藤氏は、JTBが2011年度から事業ドメインを「交流文化事業」とすることに触れ、今後はデスティネーション・マネージメント・カンパニー(DMC)として、「発着一体営業への変革」をめざす方針を語った。これは、着地型の観光まちづくり事業と発地型の流通促進事業を連動させ、観光による交流人口の拡大をはかるビジネスモデル。加藤氏は地域との一体化を鍵とし、旅行会社はより深く地域に入って魅力を経験し、知識、専門性、資源を共有していくべきだと述べた。

 後半では丁野氏が「旅行業をとりまく周辺ビジネスの可能性」とのテーマを提示。それに対し、地域発の新ビジネスと旅行業の協働による市場創造のほか、旅行者が留守中のペットや植木の世話、介護サービスといった一連の需要を旅行業界で取り込んでいく展望が示された。