LCCとの共存に向け議論、ビジネスモデル変革圧力も−JATA経営フォーラム

  • 2011年2月16日
 日本旅行業協会(JATA)は2月15日、JATA経営フォーラム2011の分科会で、「『我が国におけるLCCの行方』〜旅行会社との共生はあり得るか?〜」と題したパネルディスカッションを開催した。モデレーターは近畿日本ツーリスト(KNT)執行役員・海外旅行部長の權田昌一氏が務め、パネリストにはエイチ・アイ・エス(HIS)執行役員仕入本部本部長のボビー・A・ハック氏、ジェットスター航空(JQ)日本支社長の片岡優氏、アシアナ航空(OZ)副社長日本地域本部長の玄東實氏が登壇し、旅行会社とLCCとの共存の可能性を議論した。

 議論の中でハック氏は、LCCは旅行会社にとって「危機」としつつ、「(LCC参入の流れを)旅行会社が止めることはできない。危機をどうチャンスに変えるかを考えるしかない」と言及。その上で、HISでは航空会社側と連携を密にすることで対応を進めていると紹介した。また、LCC座席の旅行商品化は標準旅行業約款の取消料規定との整合性が課題となるが、旅行会社として約款を含めてビジネスモデルを変革する時期に来ていると強調。「今までと同じようにノーリスクで席をもらって好きなように販売し、1ヶ月前に返すということは、徐々に考え方を変えていかないといけない」とも語った。

 一方、航空会社側のパネリスト2名は、それぞれの立場から旅行会社との関係を説明。片岡氏は、LCCが一般的に直販志向とされているのに対して「JQは、特に日本においては、直販比率の向上を目標を持ったことはない」と断言。団体旅行やパッケージツアーなど、航空会社として提供しにくいものを含めて、「お客様の選択肢を増やす」ことが重要とした。また、玄氏も「(OZのグループ会社である)エアプサン(BX)の直販比率は韓国国内においても54、55%程度。国際線は40%に過ぎない」とし、「直販と旅行会社をうまく組み合わせて、全体としてめざす収入の達成に向けて努力しているというのが現実」などと語り、旅行会社との共存の可能性を指摘した。

 なお、パネルディスカッションの詳細は後日掲載予定だ。