若者需要喚起で第2回研究会、SNSでの情報訴求など意見上がる

  • 2011年2月15日
 観光庁は2月14日、第2回若者旅行振興研究会を開催した。同会は若者の旅行振興に必要な取り組みを検討するために昨年7月に発足したもの。今回は参加者から、モニターツアーの実施による若年層の旅行性向や意識に関する調査、分析の現時点での成果が示されたほか、意見交換をおこなった。

 研究会では、ダイヤモンド・ビッグ、日本観光協会、楽天トラベル、リクルート、沖縄県が取り組みを報告。各社とも若年層に対しアンケートやモニターツアーなどを実施しており、たとえばダイヤモンド・ビックでは大学生を対象にモニターツアーを設定し、ボランティアを付加したツアーと付加しないツアーを合わせて募集することで、需要を比較した。同社副本部長の奥健氏は、ボランティアの比重が重いツアーの人気が高いことから、ボランティアを通した地域交流などの「目的があれば旅に行くのでは」と分析した。

 また、楽天トラベル執行役員事業推進第二部部長の上山康博氏は、現代の若者から関心が高いキャラクターを付加価値とした「キャラクターツーリズム」による若年層の旅行需要の喚起を紹介。事例として女性の若年層に人気のゆるキャラ「カピバラさん」を使用した渋温泉とのコラボレーション企画をあげた。観光庁観光地域振興部長の田端浩氏は「若手が体験や地元のふれあいを求めているので、商工会議所など地元の取り組みが重要」とした上で、この事例を地域参画型の取り組みとして評価した。また、上山氏は「現在は国内の若年層向けだが、キャラクターなどの日本のコンテンツは海外からも評価が高い。インバウンドにも対応できるのでは」とターゲット拡大の可能性を訴えた。

 リクルートじゃらんリサーチセンター研究員の横山氏は「旅行は楽しめばいいという消費商材ではなく、経験値があがる投資商材」とし、地域振興策に若者を取り込む可能性を示唆した。このほどじゃらんで実施した、学生による熱海の宿泊プランと着地型コンテンツの商品造成コンテストでも、口コミで地域情報を広めたり、持続的に展開可能な着地型観光のアイディアなどが積極的に出されたという。


▽SNSを活用した情報訴求を提案−就職活動の長期化による影響が課題

 意見交換では、若者の旅行需要促進のためのプロモーション方法として、SNSやブログ、ツイッターなどインターネットを利用した情報の訴求があげられた。奥氏によると、若年層が友人に旅の情報を伝える際、SNSやブログなどで写真や動画を見せるケースが多いことから、「いかにインターネットを使って動画や体験談などをたくさん提供できるか」を鍵としてあげた。上山氏も「SNSやスマートフォンは、今年以降のEビジネスのキーワード」とし、若者の双方向の交流のきっかけとなる場の提供を提案した。

 また、参加した学生からは「業界研究につながるなど、就職活動に役に立つ旅行に興味がある」との意見が出た一方で、大学3年、4年生は就職活動の早期化、長期化の影響で旅行に行き難いといった課題もあげられた。田端氏も就職活動の早期化について、経済界に対し規制を求めたい考えを示した。