スイス政観、組織再編で「アジア・太平洋地区」新設−アジアの需要増に期待
スイス政府観光局は1月1日付けで組織編成を変更し、組織を西ヨーロッパ地区、中央・東ヨーロッパ地区、アメリカ地区、アジア・太平洋地区、インド・中東・アフリカ地区の5地区に再編した。今までは国ごとの各支局が独自に活動していたが、5つの地区にまとめることで、地区内の旅行者の興味や傾向の共通点をまとめてプロモーションするなど、活動の効率を高めていく考えだ。組織変更に伴い、スイス政府観光局エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントのウルス・エバーハルト氏と、アジア・太平洋地区局長のサイモン・ボスハルト氏が来日し、2011年の方針を語った。
スイス政府観光局によると、2010年1月から10月までの外国人宿泊数は前年比1.9%増だった。アジア・太平洋地区は好調で、日本が7.5%増となったほか、中国は50%以上の伸びを見せた。エバーハルト氏は「アジア・太平洋地区の旅行者は政情不安やインフルエンザなど、環境の変化に敏感」としながらも、経済的に成長し、旅行需要が高まってきていること、外国人宿泊数のうちアジア・太平洋地域の占める割合が約6%と低いことから「2011年は大幅な増加が見込める」と期待を見せた。
日本については「成熟したマーケットだが、ヨーロッパと比較すれば伸びしろはまだある」ため、「このままいけば、2008年を基準にすると、2014年までで約25%の伸びをみせる」との考えだ。ただし、2011年はユーロ安、ポンド安など為替相場の影響でヨーロッパ市場が伸び悩み、外国人宿泊数の合計は2010年比で3%から5%減になる予想だ。
アジア市場でのプロモーション方針としては、滞在日数の増加をめざす。ボスハルト氏は「数の増加に加え、もう少し長く滞在していろいろな体験をしてほしい」とし、公共交通機関やホテルなどインフラが整備されており、ハイキングや自転車などのアクティビティの体験が楽しめる点を強調。スイス政府観光局局次長の阿部かすみ氏も、「滞在を伸ばしても見ることができるところ、体験できるところはある。観光だけでなく、体験もスイスで簡単にできる点を提案していきたい」と意欲をみせた。
▽インターネットでの最新情報提供に注力、スマートフォンやiPadの活用も
エバーハルト氏は「スマートフォンや、iPadなどの新技術も積極的に活用していく」方針を示した。パンフレットやポスターなど紙媒体の制作は継続しつつ、インターネットとの役割分担を明確化。紙媒体では写真やイメージ画像を多用することで消費者の需要喚起をねらい、インターネットでは詳細かつ最新の情報をすばやく提供したいという。すでにリアルタイムの降雪情報などを提供するスノーレポートアプリや、鉄道状況や地図を提供するハイキング向けアプリなどを6ヶ国語で提供しているという。