新幹線開業まで2カ月 九州各県が観光客受け入れ準備

 九州新幹線の全線開業まで、あと2カ月。九州各県では新幹線で到着後の2次交通網の整備や、新しい観光ルートと着地型旅行企画の充実を図る。九州観光推進機構とJR九州が昨年12月に大阪市内で開いた観光素材説明会から、各県のアピールポイントを紹介したい。

 九州新幹線で3駅(久留米、筑後船小屋、新大牟田)が新設される福岡県は、各駅拠点の着地型旅行「福たび」を提案。近代化産業遺産を見学したりホタル観賞の旅を実施。

 新鳥栖駅が開業する佐賀県は伊万里焼、有田焼、唐津焼と焼きもの産地をつなぐ国道202号線を「セラミックロード」として売り出す。

 既存の新八代駅と新水俣に加えて新玉名、熊本駅が新たに設けられる熊本県。熊本城下に3月5日、城の歴史を展示紹介し地元産品の食事や買い物ができる「桜の馬場・城彩苑」がオープンする。

 一方、九州新幹線が直接乗り入れない長崎、大分、宮崎の3県も開通効果を見込んだ施策を展開。 
 
 長崎県は「海の近道」として熊本から島原や雲仙を経由し長崎市を結ぶバスを4月から走らせる。またハイブリッドカーで長崎−熊本−大分間で乗り捨て自由のレンタカープランを行う。

 大分県は、世界で確認されている泉質11種のうち10種を県内に有していることを前面に、泉種を組み合わせた「機能温泉浴」をアピール。例えば別府温泉郷で、酸性硫黄泉の明礬温泉をシャンプーに、弱酸性食塩泉の鉄輪温泉をリンスに見立て美肌ケア入浴などと名づけ発信している。

 宮崎県は、坂本龍馬とお龍の新婚旅行などにちなんだ「恋旅」を紹介したほか、九州新幹線の全線開業と同時に運行する熊本県の新八代駅と宮崎駅を結ぶ高速バス「B&Sみやざき」を運行する。

 終点の鹿児島中央駅がある鹿児島県は、新大阪から最速3時間45分で着くことを強調し、観光タクシー「駅から観タクン」や指宿方面への新特急、シャトルバスなど2次交通の充実度をアピールしている。

 九州観光推進機構の大江英夫事業本部長は「百年に一度と言われているインフラ整備を機に受け入れ態勢も深めていきます」とし、九州を訪れる観光客のうち現状1割未満のシェアにとどまる近畿地方のシェアアップを期待する。


情報提供:トラベルニュース社