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エア・アジアX、3割が他社乗り継ぎも−CEOが「アライアンスは20世紀の遺物」

  • 2010年11月29日
 エア・アジアX(D7)最高経営責任者のアズラン・オスマンラニ氏は、運輸政策研究機構が11月26日に開催した研究報告会の特別講演で登壇し、D7の長距離路線モデルを説明した。このなかでレガシーキャリアのネットワーク戦略について、「ハブ&スポークスで、アライアンス思考でやってきた」と述べた上で、「21世紀はインターネットの時代。アライアンスは旧時代のモデル」との考えを披露した。

 オスマンラニ氏はインターネットを使用することで「従来型の販売システムは不要になる上、複雑な支払い決済が不要になり、利用者でも簡単に航空券が購入でき、料金が安くなる」と説明。アライアンスの航空会社を利用するメリットとしてスルーチェックインなどの利便性が考えられるが、D7でも実際には、例えばゴールドコースト路線の乗客の3割がゴールドコーストでシドニーやメルボルン、ニュージーランドへ乗り継ぐといい、「乗客はD7でゴールドコーストまで購入し、そのほかは別の航空会社で航空券を購入している」という。

 また、LCCは座席を埋めなくては収益を上げることができないが、集客については「これまでの購入の流れを逆にし、新しい需要を創出している」とアピール。従来は旅行に行こうと決めた人が休暇時期にあわせて旅行先を選び、その上で航空券を購入していたが、D7では例えば東京路線を5000円など安価に設定することで、「価格を見た人がその値段で行けることで興奮し、まず航空券を購入し、その後に会社に休暇申請をして旅行に行く」のだと話す。

 こうした需要創出の影響は強力で、オスマンラニ氏によると世界的に旅行需要が低迷した2009年においても、旅客数は伸張。パース線は66%増の37万2000人、メルボルン線は41%増の50万5000人、ロンドン線は31%増の52万5000人、台北線は87%増の33万1000人など大きく数を伸ばした。インバウンドでも効果があり、2009年のマレーシアへの観光客数は2300万人以上で2ケタ成長を遂げたという。

 このほか、フルフラットシートのビジネスクラスや20ドルで乗継便へ受託手荷物を載せる新サービスなど、顧客目線による新発想のサービスとその考え方を披露。「アイディアはいくら披露しても問題にならない。ただし実行力はコピーできない」と、常に新しい方法を生み出し、それを実践していく大切さを語った。

 なお、D7は2007年11月の就航後、2008年度には乗客数が270万人、収益は2億3100万リンギットであったが、2009年度には乗客数が1034万人、収益は7億2000万リンギットとなり、2010年度は乗客数が1600万人、収益は13億2000万リンギットを計上している。


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