アクセスランキング、羽田国際線ターミナルが稼働、需要拡大に期待

  • 2010年10月23日
[総評] 今週は、木曜日に羽田空港の国際線ターミナルと第4滑走路の供用が開始されました。路線網の拡大もいよいよ目前となり、アクセスランキングでも羽田関連のニュースが上位10本のうち7本を占めました。当日は空港で取材にあたりましたが、おそらく旅客ではない方も含めて非常に多数の来場者で賑わっており、社会全体として大きな注目を集めていることを感じました。

 ランキングの1位は、全日空(NH)が羽田発着路線で実施するコードシェアについての記事です。NHはアライアンスパートナーの5社とアライアンス外の2社とコードシェアすることで、羽田発着のネットワークを11路線、1日22便(片道44便)とします。日本航空(JL)もワンワールドのパートナーとのコードシェアにより同じく11路線、22便のネットワークを確保していますが、スターアライアンスCEOのヤーン・アルブレヒト氏は羽田に就航する航空会社とネットワークをさらに拡充したい考えを示しており、スカイチームを交えた3アライアンスの競争がどのように進むか、興味深いところです。

 羽田空港の今後を考えますと、課題も多くあります。例えば、NH代表取締役社長の伊東信一郎氏も指摘されましたが、アジア地域での「国際空港」としての存在感を羽田が確立するには、現在の国際線向けの発着枠では不十分であることも否めません。政府の新成長戦略では2013年度の再拡張をめざしていますが、それでも6万回から3万回増えるだけです。成田空港は2014年度にも発着枠を22万回から30万回に拡大し、そのうち27万回を国際線向けとする方針ですから、その差は歴然としています。

 また、実際に空港で取材をしていて、新国際線ターミナルから国内線ターミナルに移動したのですが、無料循環バスに長蛇の列ができ、バスの車内も通勤列車並みの混み具合になっているのを見ました。供用開始の当日ですからきっと仕方のないことではあったと思いますが、「乗り継ぎの利便性が高い空港」を売りにする以上は改善が望まれます。

 この他にもアクセスの問題など課題は山積していますが、ただ、首都圏発の座席供給量が拡大することは間違いありません。22日にデルタ航空(DL)日本地区営業本部長の伊藤正彰氏とお話ししましたが、伊藤氏はこの機会に業界全体で需要拡大に取り組むべきと話されていました。確かに、業種、業態に関係なくこの機運を盛り上げようとする意識を共有し試行錯誤することは、きっと結果的に旅行マインドの醸成につながるでしょう。

 深夜早朝の時間帯など売りにくさを感じられる点もあるかもしれませんが、別の見方をすればメリットが見つかる場合もあります。今までなかったものについての情報は消費者も知り得ませんから、それこそが皆様のお力を発揮する絶好の機会であるはずです。旅行会社だからできる羽田発着の旅行を提案し、是非とも需要拡大を果たしていただきたいと願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2010年10月第4週:10月18日2時〜10月22日18時)
第1位
全日空、羽田国際線でスターアライアンスメンバーとコードシェア、11路線に(10/10/18)
NH伊東社長、羽田に期待大、課題も指摘−スター各社、需要拡大を予測(10/10/22)

第2位
日本航空、国際線新造機に新シートとエンターテイメントシステムを導入(10/10/18)
日本航空、羽田に新ラウンジを開設−早朝帰国者向けの到着ラウンジも(10/10/20)

第3位
ハワイアン航空、羽田線の機内サービス発表−「質」と「ハワイらしさ」重視(10/10/22)

第4位
JTB志賀常務、経営戦略にとってITは「最重要」、交流文化産業の基礎に(10/10/20)

第5位
ゴールドコーストマラソン、2011年の概要決定−今年は日本人1135人が参加(10/10/18)

第6位
モルディブのヒルトングループ、12月に日本語サイト開設−日本限定商品も(10/10/20)

第7位
羽田空港、新国際線ターミナルが供用開始、国際空港として再始動へ(10/10/21)
羽田国際化、首都圏は63.4%が「利用したい」、地方は25%未満も−JTB調査(10/10/19)

第8位
チャイナエアライン、台湾の日帰り旅行アピール−キャンペーン実施で(10/10/20)

第9位
羽田特集:旅行会社の戦略(1)羽田便の特性をいかした商品造成に創意工夫(10/10/19)

第10位
ハナツアージャパン、アウトバウンド事業に本腰−新会社を設立(10/10/20)