NH伊東社長、羽田に期待大、課題も指摘−スター各社、需要拡大を予測

  • 2010年10月22日
 全日空(NH)代表取締役社長の伊東信一郎氏は10月21日、羽田空港の新国際線ターミナルの供用開始を受け、「(羽田の国際化は)我々の悲願であり、非常に嬉しく期待も大きい。今後の成長の柱だと期待している」と喜びを語った。課題として国際線向け発着枠の拡大や、昼夜での路線の棲み分け、夜間のアクセスなどを指摘。また、成田との関係については、1空港で国内線と国際線に対応するのが理想としつつ、「現実には成田と羽田をいかに有効に使い分けていくか」が重要と説明。その上で、成田と羽田を「デュアルハブ」と位置づけ、羽田は内際のハブ、成田は欧米/アジア間のハブとして成長をめざす考えを示した。


 また、同日、羽田に就航予定のスターアライアンス加盟航空会社が記念行事と会見を実施。スターアライアンスCEOのヤーン・アルブレヒト氏は、「羽田から出発する旅客だけでなく、国内から海外へ、海外から国内へ、それぞれにとっても魅力的な施設になる」と語り、「今後、おそらく羽田の発着枠をめぐって熾烈な競争がおき、様々な航空会社が長蛇の列を作ることになるだろう」と言及。そして、スターアライアンスとしても羽田に就航する加盟航空会社の増加をめざしたいとし、「なるべくオープンな形で(発着枠が)拡大することを心より願っている」と語った。

 現時点で羽田への就航を決定している加盟航空会社は、NH、シンガポール航空(SQ)、タイ国際航空(TG)、エア・カナダ(AC)、アシアナ航空(OZ)、中国国際航空(CA)の6社。アルブレヒト氏によると、スターアライアンスの全加盟航空会社の便を合わせると、羽田の発着枠の42%にのぼる。成田路線もあり、供給量が大きく拡大することになるが、各社からは前向きな意見が多く聞かれた。

 例えばNHは、「予約状況はだいたい70%強」と紹介しつつ、その一方で「成田が減っているかというとまったく減っていない」と説明。また、日本の18空港に路線を展開するOZの専務取締役日本地域本部長であるヒョン・ドンシル氏も、「羽田空港の国際化はプラスの影響を見込んでいる」と強調。例えばデイリー運航できない地方路線を補完することも可能になるとし、「地方路線の調整はまったく考えていない。さらに需要の拡大につながると期待している」と語った。

 なお、スターアライアンスでは、「ムーブ・アンダー・ワン・ルーフ」のコンセプトのもと、チェックインカウンターを集約。また、到着エリアには「コモン・バゲージ・サービス・ファシリティ(CBSF)」を設置しており、加盟航空会社の手荷物の問い合わせに一元的に対応する。