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中部、8月の国際線旅客数は8%増と5ヶ月連続増加−JL便運休の影響懸念

  • 2010年9月17日
 中部国際空港によると、2010年8月の国際線旅客数(速報値)は前年比8%増の44万4400人となり、4月から5ヶ月連続でプラスに推移した。9月後半は昨年のシルバーウィークの反動で多少落ちこむ予想だが、需要は順調に回復しているという。一方、8月の国内線旅客数は3%減の50万674人。4月から8月の5ヶ月での累計は1%減の210万5426人だった。日本航空(JL)の熊本、釧路、花巻路線の運休や機材の小型化による影響があるなか微減に留まっており、需要自体は堅調との考えだ。

 8月の国際線旅客便の発着回数は2%増の2591回。アジア路線の維持と拡充を最重要課題として航空会社各社に営業活動を展開した結果、ベトナム航空(VN)のホーチミン線再開や、タイ航空(TG)やチャイナエアライン(CI)の増便など、着実に成果があがっているという。中長距離路線でも、デルタ空港(DL)のホノルル線開設や、フィンエアー(AY)の増便などの成果があった。今後は周辺地域の需要に対し的を絞って誘致活動を展開していく方針だ。製造業の企業を中心に需要が高いアメリカ西海岸への就航を日系や米系航空会社に働きかけており、愛知県や名古屋市と共同でのエアポートセールスも実施していく。さらに、LCCに対しても営業体制を強化し、アジアへのネットワークの充実をはかる考えだ。

 なお、国内線旅客数の発着回数は2%減の4734回となった。2011年2月からはスカイマーク(BC)が羽田、札幌、茨城に就航することもあり、中部国際空港代表取締役副社長の伊藤鎭樹氏は、「従来の需要とバッティングせず、今までのネットワークの空白地帯に就航することから、新しい需要が見出せるのでは」と期待を見せた。


▽JLの更生計画の影響を懸念、航空会社各社に増便や就航を働きかける

 JLが8月末に東京地方裁判所に提出した更正計画案に関しては、運休や機材の小型化などによる収益面でのマイナスを想定すると、収益に大きな影響を及ぼすとの見込みだ。影響を最小限に食い止めるため、上期に可能な限り黒字の確保をめざし、JLが運休予定の路線については、他の航空会社に新規就航や増便を働きかけた。伊藤氏によると、TGのバンコク線増便やDLのホノルル線就航などの成果があったものの、「まだ十分なカバーとまでは至っていない」という。今後はTGに更なる増便を働きかけるなど、引き続き路線の維持や拡大に向けた取り組みを実施し、2012年3月期の連結決算の黒字化にむけて注力していく。