取材ノート:保険会社から見る教育旅行と危機管理−海外教育旅行セミナー
近年は海外修学旅行のみならず、短期語学研修など学校のプログラムを通じて海外で学ぶ日本人生徒・学生の数は増加傾向にある。トラベルビジョン企画が7月下旬に開催した第4回「海外教育旅行セミナー」では、AIU保険会社TS業務企画部の俣木薫氏が登壇。海外プログラム実施中の緊急対応の際には役割分担を明確化することが重要であると強調し、事前にリスクに対して備えておくべき4項目を提案した。
AIUにおける緊急事故対応事例
俣木氏はまず、海外での緊急事故の対応として、2004年の12月26日に発生したスマトラ沖地震での事例をあげた。ただし、これは海外プログラム実施中での対応というよりも、AIUと旅行会社の被害者遺族の方への対応とマスコミ向けの対応、現地での手配業務などについて話したもの。
AIUでは事故への対応を、初動期、現地対応期、帰国対応期と3段階に分けて実施。初動期では遺族の方の渡航手配や記者会見開催の手続き、現地対応期では遺体搬送、葬儀社などの手配、帰国対応期では空港でのマスコミ対応などがあり、「各段階すべてに早急な対応が求められるため、どのスタッフがどの対応をするか、会社全体で役割分担を明確化して対応にあたった」とポイントを語る。
海外プログラムを実施する各学校側でも、事前に事故の回避を目的に規則を設け、事故対策マニュアルを完備している。ただし、俣木氏は「万が一の事故をすべて想定して準備することは不可能に近い。準備不足の場合、実際事故が起こってしまった時に何から手をつけていいのか、わからなくなってしまう」と指摘。その状況を回避するために俣木氏は、海外プログラムを取り巻くリスク整理と緊急事故対応の見直しが重要だと話す。特に一番必要なこととして、「各々の役割を明確化していくこと」をあげる。
海外プログラム実施前に備えるべきもの
俣木氏は、海外プログラム実施中に不測の事態に遭遇した場合を想定し、事前に備えておく必要があるものとして4項目をあげる。
1つ目は、教職員を含めた緊急連絡網の整備。携帯電話やメールアドレスなどを整理して、緊急対応時の役割分担がスムーズになるような事前の組織づくりを必要とする。
2つ目は、プログラムの計画時点で安全情報を収集すること。例えば、外務省のウェブサイトで現地での伝染病の流行状況などを調べるといった最新情報のアップデート。さらに、海外プログラム中に訪れる現地の場所はもちろんのこと、不測の事態が起こった際に開く記者会見用の会議室の場所や家族が泊まるホテルの下見など、「時間があるときにこそ行っておくといい」と、万全な下準備をすすめる。
さらに3つ目は、保険の付保状況を把握し、万一の際に備えた補償体制を整えること。そして最後の4つ目は、以上の3項目をすべて整備し、それらを反映した事故対策マニュアルを作成することだと話す。
経営を逼迫しないためのリスク対策
俣木氏は、「学校が申込人となる保険契約の補償金額は、あくまでも学校が負担せざるを得ない補償事項を想定し、決定していく必要がある。道義的責任への対応と経費軽減策として保険加入は必要」と話す。
緊急事故の際、航空会社の補償は各国の経済状況によって異なる。また、賠償・支払責任が現地の加害者にある場合でも、社会的地位や経済状況によって賠償金額が低額であったり、賠償金を得られないこともある。こうしたリスクから回避するためにも、各種保険の加入漏れや補償金額に過不足がないよう、保険の再認識が重要と強調した。
また、救援者用の費用を補償する事故対策用の保険など、さまざまな保険商品を紹介しながら、加入する前に商品を選ぶことが重要であるとし、経営を逼迫しないためのリスク対策の一案としての検討を促した。
AIUにおける緊急事故対応事例
俣木氏はまず、海外での緊急事故の対応として、2004年の12月26日に発生したスマトラ沖地震での事例をあげた。ただし、これは海外プログラム実施中での対応というよりも、AIUと旅行会社の被害者遺族の方への対応とマスコミ向けの対応、現地での手配業務などについて話したもの。
AIUでは事故への対応を、初動期、現地対応期、帰国対応期と3段階に分けて実施。初動期では遺族の方の渡航手配や記者会見開催の手続き、現地対応期では遺体搬送、葬儀社などの手配、帰国対応期では空港でのマスコミ対応などがあり、「各段階すべてに早急な対応が求められるため、どのスタッフがどの対応をするか、会社全体で役割分担を明確化して対応にあたった」とポイントを語る。
海外プログラムを実施する各学校側でも、事前に事故の回避を目的に規則を設け、事故対策マニュアルを完備している。ただし、俣木氏は「万が一の事故をすべて想定して準備することは不可能に近い。準備不足の場合、実際事故が起こってしまった時に何から手をつけていいのか、わからなくなってしまう」と指摘。その状況を回避するために俣木氏は、海外プログラムを取り巻くリスク整理と緊急事故対応の見直しが重要だと話す。特に一番必要なこととして、「各々の役割を明確化していくこと」をあげる。
海外プログラム実施前に備えるべきもの
俣木氏は、海外プログラム実施中に不測の事態に遭遇した場合を想定し、事前に備えておく必要があるものとして4項目をあげる。
1つ目は、教職員を含めた緊急連絡網の整備。携帯電話やメールアドレスなどを整理して、緊急対応時の役割分担がスムーズになるような事前の組織づくりを必要とする。
2つ目は、プログラムの計画時点で安全情報を収集すること。例えば、外務省のウェブサイトで現地での伝染病の流行状況などを調べるといった最新情報のアップデート。さらに、海外プログラム中に訪れる現地の場所はもちろんのこと、不測の事態が起こった際に開く記者会見用の会議室の場所や家族が泊まるホテルの下見など、「時間があるときにこそ行っておくといい」と、万全な下準備をすすめる。
さらに3つ目は、保険の付保状況を把握し、万一の際に備えた補償体制を整えること。そして最後の4つ目は、以上の3項目をすべて整備し、それらを反映した事故対策マニュアルを作成することだと話す。
経営を逼迫しないためのリスク対策
俣木氏は、「学校が申込人となる保険契約の補償金額は、あくまでも学校が負担せざるを得ない補償事項を想定し、決定していく必要がある。道義的責任への対応と経費軽減策として保険加入は必要」と話す。
緊急事故の際、航空会社の補償は各国の経済状況によって異なる。また、賠償・支払責任が現地の加害者にある場合でも、社会的地位や経済状況によって賠償金額が低額であったり、賠償金を得られないこともある。こうしたリスクから回避するためにも、各種保険の加入漏れや補償金額に過不足がないよう、保険の再認識が重要と強調した。
また、救援者用の費用を補償する事故対策用の保険など、さまざまな保険商品を紹介しながら、加入する前に商品を選ぶことが重要であるとし、経営を逼迫しないためのリスク対策の一案としての検討を促した。
取材:辻千晶