日本旅行、中間決算は赤字幅が縮小−営業費用減少、海外旅行好調で

  • 2010年8月26日
 日本旅行の2010年12月期中間期(2010年1月1日〜6月30日)連結業績は、営業収益は前年比1.4%増の224億2200万円となり、営業損益は18億700万円の赤字(同:42億2600万円の赤字)、経常損益は13億7300万円の赤字(同:38億5300万円の赤字)、純損益は18億6800万円の赤字(同:25億5400万円の赤字)となった。前年に発生した新型インフルエンザの影響からの反動や、円高の影響などによって海外旅行が好調だったことを受けて、赤字幅が縮小した。ただし、本格的な需要回復には至らず、全体的に厳しい結果となった。

 日本旅行単体での海外旅行販売高は22.9%増の538億3800万円、営業収益は22.0%増の62億3300万円と2桁成長。企画商品は、ベストツアー40周年特別企画や、ヨーロッパや中国を中心とした商品を拡充したうえ、円高を背景とした海外旅行需要の高まりもあり11.8%増の222億5200万円となった。また、団体旅行は、不況下でも業績の良い企業や教育旅行をメインとした営業、韓国や中国に重点をおいた取り組みなどが奏功し、販売高は16.1%増の86億6600万円となった。また、国際航空券などの単品販売は海外出張需要の回復基調や新型インフルエンザ発生の反動で、販売高は60.3%増の183億3700万円となった。

 一方、国内旅行は宿泊単品商品のインターネット直販化や、JR券、国内航空券の各運輸機関による直販化の影響で苦戦。団体旅行の販売高は、スポーツ大会や文化イベント、教育需要の取り込みを強化したことで0.7%増の261億3000万円となったものの、国内全体では販売高が4.6%減の1090億3300万円、営業収益が7.2%減の118億5000万円となった。また、国際旅行については、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業の拡大に加え、インターネットを通じた個人需要への対応強化や中国人富裕層に対するPET検診ツアー拡充に取り組み、販売高は2.2%増の33億1500万円、営業収益は4.5%増の5億4100万円であった。

 なお、連結営業収益の1.4%増に対して、営業費用は8.0%減の242億3000万円と削減に成功。店頭スタッフが複数の店舗を担当するなど要員配置を柔軟にしたことや、本社の総務関連の部門など一部業務をグループ会社に移管したことで、業務運営を効率化できたという。


▽下半期はインターネット、インバウンド、BTMの成長分野を積極展開

 下半期については、インターネット販売、インバウンド、BTM事業の成長分野の営業強化をはかり通期での黒字化をめざす。特にインターネット販売の上半期の販売高は22%増の約80億円で、21%増と予想した年初計画と比べても順調に推移している。インターネット販売の強化とともに店舗網の見直しをはかる旅行会社もあるが、日本旅行ではコンサルティング機能を持った店舗営業を重視しており、インターネット販売は店舗販売シェアを維持しながら全体の取り込みを増やすための位置づけ。インターネット販売は下期もさらなる拡大が期待できるが、店舗の大規模な統廃合などは実施しない方針だ。