Marriott Bonvoy

訪バリ日本人減少、インドネシア文化観光省が危機感−回復に向け取り組みへ

  • 2010年7月12日
 インドネシア共和国文化観光省は7月8日、日本旅行業協会(JATA)の後援のもとバリ島セミナーを開催した。セミナーでは文化観光省から最新の市場動向、需要喚起に向けた取り組みなどが紹介されたほか、近年低迷傾向が続く日本市場について、参加旅行会社との意見交換も実施した。バリ・ツーリズムボード会長のイダ・バグース・ングラ氏は、「日本とバリ島は共通の目標を持って、需要喚起に取り組むべき」と強調。「日本の旅行業界と一緒に(回復に向けた)アクションプランを作っていきたい」と呼びかけた。

 文化観光省・国際プロモーション・ディレクターのイ・ゲデ・ピタナ氏によると、2010年5月までのインドネシアへの日本人訪問者数は前年同期比12%減の15万9081人。。ピタナ氏は、今後も厳しい状況は続くとしながらも、2010年の目標人数を52万5000人に設定。需要喚起策として、日本各地で8つのインドネシア関連イベントを開催する計画で、バリ島以外の島々やスパ、ゴルフ、ダイビング、エコツーリズムなど幅広いアトラクションを積極的にプロモーションしていく考えだ。「インドネシアの観光はバリュー・フォー・マネー。」とピタナ氏。コモド大トカゲが唯一生息するコモド島を例に挙げ、「インドネシアでしか体験できないものを提供できる」と意欲的な姿勢を示した。

▽バリ島への日本人訪問者数も大きく減少、需要喚起へ活発な意見も

 一方、バリ島についても日本人訪問者数の減少が続いており、今年5月の実績は1万7037人で5月としては過去最低を記録。2008年5月の実績が2万4267人だったことを考えると、その減少幅は大きい。また、2008年には35万4817人の日本人がバリ島を訪れ、マーケットシェアは18%で第1位だったが、2009年には31万9473人に落ち込み、シェアもオーストラリアに抜かれ第2位になった。さらに、今年5月までの累計は10万757人で、シェアは12%にまで落ち込んでいるのが現状だ。参加者からは、メディアへの露出の減少、魅力を伝えきれていない、新しい情報が届かない、バリ島のイメージの固定化、ファミリー層への訴求不足などの意見が出された。

 バリ・ツーリズムボード会長のングラ氏は「限られた条件の中で、創造性を生かした商品造りをしていかなければならない」と述べ、日本の旅行業界とバリ島がそれぞれ協力して日本人訪問者数を増やしていく必要性を訴えた。バリ・ツーリズムボードでは2010年の海外旅行者数を230万人と予測。そのなかで、日本人訪問者数の目標として、参加者の意見を集約するかたちで34万5000人、シェアを15%に設定した。この目標達成には、現地と日本の旅行業界双方にかなりの努力が求められそうだ。