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体験レポート:ガルーダ・インドネシア航空の機内入国審査、サービス向上へ

  • 2010年6月25日
 ガルーダ・インドネシア航空(GA)は今年2月から、入国審査の待機時間を解消する目的で、機内での入国審査を開始している。日本からインドネシアへのすべてのGA便に2名の入国審査官が搭乗し、席に座ったまま入国審査が済むという画期的なシステムだ。また、GAでは2月から、サービスの一部や内装、機体のデザインを順次変更しており、8月中旬をめどに日本に就航する全6機をリニューアルするとのこと。実際にGA機に搭乗し、新サービスと機内入国審査を体験してみた。
                                   
                                   

チェックインカウンター横のブースで入国税を支払う

 GA日本・韓国・中国・アメリカ地区総支配人のファイク・ファーミ氏は「2月に導入して以来、特に問題はない。機内での入国審査を導入している航空会社は、ほかにはないのではないか」と胸を張る。デンパサールではこれまで入国審査を待つだけで1時間から2時間を要していたが、それがなくなれば搭乗客は現地での時間をより有効に使えるようになり、サービス向上につながる。

 今回、搭乗したのは成田発デンパサール行きのGA881便。チェックインが終わると、同じカウンターの一番奥に設けられたブースでインドネシア入国税(25米ドル)を支払うよう案内される。受け付ける通貨は米ドルのみだが、ブースは両替所の前にあるため混乱はないという。このときは両替所に走る人の姿もなく、搭乗客への事前告知はきちんとされているようだ。ここで渡される入国税のレシート(VISA ON ARRIVAL RECEIPT)をなくすと、機内での入国審査は受けられないので注意が必要だ。

 機材はすでに4機が変更済みで、この日に搭乗した機体もリニューアルされたものである。シートを従来の青色から落ち着いた色あいに変え、さらに機内エンターテイメントはオンデマンド仕様となった。日本語の映画はまだ少ないようだが、人気の作品をそろえており、内容は充実している。


食事後に入国審査が開始

 また、これまで洋食と和食のみであった機内食に、新たにインドネシア料理のチョイスを加えた。ビジネスクラスでは全3種類から、エコノミークラスでは和食とインドネシア料理の2種類から選べ、機内でインドネシアらしさを感じられるようになっている。アッパークラスのサービスもワンプレートでサーブするのではなく、アペタイザー、メイン、デザートと、コースごとに運んで高級感をかもし出していた。

 食事が終わった頃にイミグレーションカードが配られ、記入を済ませて待っていると、いよいよ機内での入国審査がはじまった。スタンプなどを積んだワゴンを男性の入国審査官が押しながら、ゆっくりと席をひとつひとつ回る。先ほど空港で支払った入国税のレシートとパスポート、イミグレーションカードを渡すとスタンプを押し、読み取り機でパスポートを読み取る一連の作業を手際よく行なっていく。

 「審査済み」を示す青色の細長いカードとともに書類が一式返却されて審査は終了。5分とかからず、カメラでのチェックや質問も一切なかった。トイレなどで席を立っている場合は順番をとばし、席に戻ってきてから審査をしていた。乗客がチェックインした座席番号どおりにきちんと座っていれば、スムーズに終了しそうだ。時間が短いこともさることながら、自分の順番が来るまでエンターテイメントシステムを楽しみ、順番がきたら鑑賞中の映画を一時停止にして審査を受けられるのは、うれしいところである。


降機後の時間が短縮、荷物の受け取りに改善余地も

 デンパサール国際空港に到着後は係員の指示に従って進み、機内審査が導入されていない便の乗客がつくる入国審査の列を尻目に、審査済みのカードを空港係員に渡してバゲッジクレームに出る。このカードは基本的には一人1枚渡されるようだが、家族連れなどの場合1グループで1枚ということもあるようだ。

 このシステムの場合、入国審査で足止めされない分、バゲージクレームでの待ち時間が長く感じる。これについてファイク氏は「それでも以前よりも時間は短縮されている。とはいえ、とても参考になる意見だ」とし、さらなるサービス向上への強い意欲を見せた。また、入国税の支払いがドル建てであることについてはインドネシア通貨のルピアのレート変動が大きいためとし、この先も現行どおりでいく方針だ。

 なお、GAは9月1日から、現行の成田/デンパサール/ジャカルタ線に加え、成田/ジャカルタ線を就航し、成田発を1日2便に増便する。機内入国審査は、成田/ジャカルタ線にも導入する予定だ。


取材:岩佐史絵