OTOA、下請法の勉強会開催、具体例も−中小企業庁はガイドライン策定に意欲

  • 2010年6月18日
 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は6月の定例会で、下請代金支払遅延等防止法(下請法)について2回目の勉強会を開催した。今回は、1回目の下請法勉強会で挙がった質問や日頃から問い合わせの多い項目をとりまとめ、中小企業庁の担当者が、旅行業界内の具体的な事例について対応方法を回答した。

 OTOA会長の大畑貴彦氏は、「会員が一番関心のあるテーマだと思う」と言及。そして、「そうした日頃感じているものを出す場がなかなかない。その場を提供するのがOTOAの役割」との認識から、下請法に限らず多様な課題やテーマに取り組む姿勢を示した。

 具体的な事例としては、中小企業庁と公正取引委員会の役割や旅行会社との契約、手配代金の支払いなど約20項目が挙がった。例えば旅行会社との契約について、取引の際に結ぶ基本的な契約「海外地上手配契約」で、契約料や指定オペレーター料、事務手数料、契約更改手数料などの金銭的条件を課す場合が問題になるか否かについて、下請法の禁止行為である「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」にあたる可能性があるという。

 ただし、一度契約してしまうと不当であるとの証明が難しく、法外な料金であることや複数企業と契約する中での差異性などが証明できれば改善指導になるようだ。

 また、正式受注後に別のオペレーターから安い代金が提示されたため、その代金にあわせるか、できなければ変更すると求められた場合は、「下請代金の減額の禁止」にあてはまるうえ、下請事業者の変更は「不当な給付内容の変更・やり直し等の禁止」にもあてはまるという。

 こうした具体例を用いた勉強会では質疑応答でも意見や疑問点が途切れず、「OTOAの業者間取引適正化への取組みを歓迎する。質問項目も有効的だった」と話す参加者もあり、活発な勉強会となった。


▽下請法のガイドライン策定も進む、サービス業も

 下請法は1956年の制定だが、サービス業が同法の対象となったのは2003年とまだ日が浅い。しかし、中小企業庁事業環境部取引課課長補佐(調査担当)下請代金検査官の高橋隆氏は、「経済環境が厳しくなる中で、(相談件数が)全体的に増えてきている」と話し、今後、旅行業者間取引に関する相談事例も増えると予想する。

 中小企業庁では、親事業者と下請事業者との望ましい取引関係を示すことを目的に、法令上問題のある可能性のある取引事例などを紹介する下請適正取引ガイドラインの作成も実施。高橋氏はサービス業のガイドライン策定にも
意欲的で、策定されれば、下請法についての正確な知識や理解が向上すると期待を示した。


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